2016 Fiscal Year Research-status Report
RNA農薬開発に向けた昆虫のfeeding RNAiの機構解明
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16K07632
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
田中 良明 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門 昆虫制御研究領域, 主席研究員 (90355735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
霜田 政美 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門 昆虫制御研究領域, ユニット長 (80344000)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 昆虫 / 遺伝子 / 発現制御 / シグナル伝達 / バイオテクノロジー / RNA干渉 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.トビイロウンカを用いて二本鎖RNA(dsRNA)の摂食によるRNA干渉(feeding RNAi)に有効な標的組織を解明するため、神経ペプチドや生体アミンの膜受容体を中心に、約90個の遺伝子を標的として注射とfeedingによるRNAiで発育阻害に有効な遺伝子を探索した。その結果、農薬開発に有望なfeeding RNAiで発育阻害効果がある遺伝子を9個同定した。これらは主に脂肪体や消化管、マルピーギ管で発現する遺伝子であった。 2.トビイロウンカを用いて、脱皮ホルモンや幼若ホルモンの生合成器官である前胸腺やアラタ体、脳などの中枢神経系で特異的に発現する遺伝子を標的としたfeeding RNAiの効果を解析した。これらの遺伝子は注射によるRNAiでは高い発育阻害効果を示したものの、feeding RNAiでは発育阻害効果は低かった。 3.トビイロウンカで発育阻害効果のあった遺伝子について、RNAseqのデータを利用してアザミウマ類やコナジラミ、カメムシ類から相同遺伝子を同定した。また、一部の遺伝子についてはパラフィルム法によるfeeding RNAiスクリーニング系の確立を検討した。 4.RNAiスクリーニングの過程で、体色の黒化という同じ表現型を示す神経ペプチド(Elevenin)遺伝子と膜受容体(NlA42)遺伝子を同定した。培養細胞を用いた発現機能解析により、EleveninがNlA42のリガンドであることが証明した。Eleveninは軟体動物や節足動物の一部に存在する神経ペプチドであるが、生理機能を解明したのはこれが初めてである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トビイロウンカを用いてfeeding RNAiが有効な遺伝子を同定し、どの組織で発現する組織がfeeding RNAiが効くのかについて絞りこみができている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きトビイロウンカを用いてfeeding RNAiにより実際に標的器官における遺伝子発現が抑制されることを定量PCRで確認を進めるとともに、トビイロウンカで得られたデータを応用して、アザミウマ類やカメムシ類でfeeding RNAiが有効な遺伝子を探索する。
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Causes of Carryover |
物品購入時の見積もり額と、実際の購入額との差額。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験に必要な試薬(dsRNA合成キット)を購入予定。
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Research Products
(2 results)