2018 Fiscal Year Annual Research Report
High field nuclear magnetic resonance study for the chemical state of available Cs
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16K07640
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
徳田 陽明 滋賀大学, 教育学部, 教授 (30372551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 義勝 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (90362417)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | NMR / 粘土 / 土壌 / 構造解析 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は,主に次の点についての検討を行った。 [1]前年度に引き続き,構造解析の最適化を行った。特に粘土や土壌における吸着状態の解明に尽力した。セシウムの状態解析にはXAFS,電子顕微鏡,固体NMRなどが用いられる。今回使用した固体NMRに関して,我々のグループの先行研究によってより低配位数のものが低磁場側に,より高配位数のものが高磁場側にピークが現れることが分かっている。このことから,粘土や土壌中のセシウムの吸着状態の違いを解析することが出来ると考えた。粘土鉱物のイオン交換試料と再イオン交換試料のNMR測定を行ったところ,ピークの低磁場成分が粘土表面に吸着した水和セシウムイオン,高磁場成分が層間に吸着した水和セシウムイオンであることが示唆された。土壌中有機物の一つであるフミン酸のNMR測定結果によると,フミン酸には有機物に吸着した様々な環境下にあるセシウムが存在していると考えた。再イオン交換後は有機物に吸着していたセシウムが脱離し,フミン酸試料に少量含まれる鉱物表面に吸着しているセシウムが残っていると考えた。土壌のNMR測定によると,土壌中のセシウムは主に粘土鉱物中に吸着していると考えた。また,有機物含量が多い方が低磁場成分の割合が大きいことから,有機物含量が多いと表面に吸着した水和セシウムイオンの割合が大きいことが示唆された。 [2]実際に大豆を育てて栽培前後の土壌(根圏土壌)についてのNMR解析を行おうとした。平成30年度は猛暑や大雨があったため生育に異常が見られ,再現性のある結果を得ることができなかった。今後も引き続き検討を続けていく。 [3]栽培が不良であったため,当初計画に加えて機械学習を用いた構造解析情報の取り扱いについての検討を行った。ガウスカーネル法を用いて,多成分からなるモデル物質での取り扱いに成功した。本手法のこの研究の構造解析に応用していく。
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