2016 Fiscal Year Research-status Report
植物の乳管細胞の防御機能に関する比較マルチオミクスと昆虫フェノミクス
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16K07641
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
北島 佐紀人 京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 准教授 (70283653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 政光 京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 教授 (00182460)
小林 優 京都大学, 農学研究科, 准教授 (60281101)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 乳液 / 乳管細胞 / トランスクリプトーム / プロテオーム |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の乳管細胞は、植物体の他の細胞の隙間をぬって細長く伸長・分枝して、植物体全体に乳管細胞ネットワークを張り巡らす。乳管細胞の内容物を乳液と呼び、そこには、天然ゴムの主成分ポリイソプレンに加えて、抗昆虫・抗微生物タンパク質あるいは化合物が大量に含まれる。細胞内圧力が高いため、食草昆虫等により植物体が損傷して乳管細胞ネットワークの一部が切断されると、乳液が大量に漏出し、昆虫・微生物等の外敵を攻撃する。乳管細胞は、推定40科20,000種もの植物に存在するが、アラビドプシスやイネ等のモデル植物には存在しないため基礎研究は大きく立ち遅れている。パラゴムノキ(トウダイグサ科)は、その乳液が天然ゴムの工業原料であるため国家戦略上重要な研究対象であるが、産地国による持出し規制と気候条件の問題のため日本で栽培できない。このことは、日本における乳液あるいは乳管細胞研究の致命的な障壁となっていた。本研究では、日本でも栽培の容易なイチジク、桑、ミドリサンゴをモデル研究材料として用い、トランスクリプトーム・プロテオーム・メタボローム解析を駆使して、乳管細胞の防御機能の分子的実体と多様性を理解する。研究期間の後半には、変異体昆虫を用いて、乳管細胞成分の昆虫に対する毒性ならびに昆虫による毒性回避の分子機構を理解する。研究成果は、天然ゴム産生植物等の乳管細胞生理学の知見を拡大するとともに、Btトキシンに代わるGM作物の新たな抗害虫遺伝子の開発に活用される。 H28年度には、プロテオーム解析とトランスクリプトーム解析を実施し、乳管細胞で発現する遺伝子群を特定し、それら総体としての乳液機能を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調であり、次年度の予定を遂行に致命的な支障はない。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度の進捗は概ね計画通りだったので、当初予定通り進める。
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Causes of Carryover |
軽微な差額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に繰り越して物品費に充当する。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Transcriptome and proteome analyses provide insight into laticifer's defense of Euphorbia tirucalli against pests.2016
Author(s)
Kitajima, S., Miura, K., Aoki, W., Yamato, K. T., Taira, T., Murakami, R., & Aburaya, S.
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Journal Title
Plant Physiology and Biochemistry
Volume: 108
Pages: 434-446
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant