2018 Fiscal Year Research-status Report
時間経過に伴う土壌中の炭化物の光物理化学的特性変化からみた炭化物の変質・消失過程
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16K07646
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
井上 淳 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (90514456)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 炭化物 / 土壌 / 変質 / 消失 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請研究のテーマは,植物が高温炭化して生成される炭化物が,土壌や堆積物に埋没する過程の中で,どのように消失,変質するか,あるいは残存するかを明らかにす ることである.今年度は,1~2年次の研究成果とともに,炭化物に関する先行研究を井上(2018)にまとめた.同論文では,まず炭化物が一般にどのような化学特性を持つか,またその化学特性が土壌中でどのように変化するのか,そうした化学特性の変化についてどのような研究が行われているかなどについてまとめた.次に炭化物の初生時の化学特性や化学構造は,被熱温度や比熱時間など生成時の条件や母材によって大きく変化することをまとめた.さらにこうした生成時の条件により,化学特性のみでなく,空隙率や比重,物理的強度などの物理特性が大きく変化すること,こうした生成条件による炭化物の物理特性の違いは,土壌や堆積物への運搬・埋没過程で炭化物の選択を生じさせる可能性を指摘した.これを踏まえて,申請者は炭化物粒子1粒子毎の化学特性を調べることが重要であることを訴え,このためラマンスペクトル分光法や赤外線吸光スペクトル法による化学特性や化学構造の推定が有効であるとの考えを示した.そしてこれらの結果から予想に反して土壌中に残存するのは,低炭化の炭化物であり,こうした結果は先行研究によっても示されていることを述べた.その上で,こうした結果には,物理的なプロセスが大きく働いている可能性を示唆し,炭化物の残存を考える上で化学特性のみでなく物理特性も重要であるとの考えを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
堆積物中の炭化物の抽出に取りかかるのが遅れたため.
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Strategy for Future Research Activity |
堆積物中の炭化物の分析についても論文として公表する予定である.
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Causes of Carryover |
論文作成,投稿にまで至らず,論文の校閲費用,論文投稿料,オー プンアクセス料金への使用予定額が残額となった.2019年度は予算の残額を主にこれらに使用する.
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