2017 Fiscal Year Research-status Report
出芽酵母におけるリボソーム分解を介したストレス適応化機構の解明
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16K07657
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 哲弘 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40323480)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リボソーム / ストレス応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の実験結果から、ラパマイシンの作用に応答したリボソームタンパク(RP)分解は、主にユビキチン-プロテアソーム系に依存することが示唆された。これは、プロテアソーム構成因子の転写因子であるRpn4p欠損株では、このRP分解が抑制されたためである。しかし、抑制の程度が低かったため、本年度はこのRP分解と、分解経路のもう一つの候補であったオートファジー経路との関連性を再度検討した。オートファジーが起こらないAtg2p, Atg7p欠損株におけるRP分解をウエスタンブロッティングにより定量したところ、程度の差はあるものの、両株で分解の抑制が見られた。このことから、rRNAと同様にRPも、すなわちリボソームそのものがオートファジー経路で分解されると考えられた。一方で、これまでの結果から、ユビキチン-プロテアソーム系が間接的にこのRP分解に関わることが示唆されたが、これを検証するにはウエスタンブロッティングを用いた定量法だけでは不十分と考えられた。そこで、現在、オートファジー活性を定量化するALPアッセイ法を組み合わせた、新たな RP分解の定量法を構築中である。 また、RP分解とrRNA分解との連携性を明らかにするために、Rny1pによるrRNA分解機構について更に解析を行った。Rny1pは細胞外に分泌されるが、一部が液胞に局在するとの報告がある。リボソーム分解がオートファジーに依存するのであれば、この「液胞局在性Rny1p」がrRNA分解を担うと考えられる。そこで、Rny1pが液胞に移行するメカニズムの解析を行った。ここで、Rny1pのC末端にある機能不明領域に注目した。このC末端領域を欠失すると、宿主細胞のストレス適応能が消失した。現在、C末端領域が液胞への局在性を決定すること、また、C末端領域の有無とrRNA分解との関連性を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は「リボソームタンパク分解とrRNA分解との連携性を明らかにする」を実施計画に掲げた。本年度の結果からは、これまで明らかにしていたrRNA分解に加え、RP分解もオートファジーに依存することが示された。rRNAおよびRPの両因子の分解経路が明らかになったことから、おおむね実施計画通りに進行していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、RPの分解に関して、ウエスタンブロッティングのみを用いて定量評価を行ってきた。しかし、この手法だけで判断するのは困難となってきた。そこで、例えばオートファジー活性を定量するALPアッセイ法を応用したRP分解の定量法を用いるなどし、別の角度からの検証を行うこととする。
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Causes of Carryover |
(理由) 本年度の実験費用が当初予想していた額を下回ったため。 (使用計画) 物品費として計上する。
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