2016 Fiscal Year Research-status Report
硫黄等の栄養枯渇が引き起こす寿命延長メカニズムの解析-リボソームに焦点をあてて-
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16K07662
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大塚 北斗 名古屋大学, 創薬科学研究科, 助教 (10632151)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Ecl1 family遺伝子 / ecl1 / 分裂酵母 / 経時寿命 / リボソーム / zip1 / 硫黄 / カロリー制限 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、「栄養枯渇がリボソームの量または機能の抑制をもたらし、この抑制が分裂酵母の寿命延長を起こす」と仮説を立て、その解析を行った。本研究計画では、カロリー制限などの栄養枯渇による寿命延長はリボソームの量またはその機能の低下に起因するのではないかと予想し、この仮説の検証を行うとともに、これを応用することで酵母細胞の寿命の制御を試みることを予定していた。平成28年度には、具体的に以下を行う予定であった。 (1)分裂酵母の硫黄枯渇応答を調べる(2)栄養枯渇による寿命延長がリボソーム抑制によるものか検証する(3)リボソームを標的とし、酵母細胞の寿命の制御を試みる 解析の結果、(1)は、ecl1遺伝子を直接制御している転写因子として、Zip1を同定することに成功した。(2)は、複数のリボソームタンパク質をコードする遺伝子の分裂酵母欠損株が長い経時寿命を持つことを証明することができた。同時に、寿命を延長させる栄養枯渇条件、つまり炭素源、窒素源、硫黄源の枯渇した条件では、いずれにおいてもリボソームタンパク質量や活性が低下していることが示唆された。(3)は、リボソームの生合成を阻害する薬剤の添加により、分裂酵母が長生きすることが証明された。 これら結果を、以下のように論文にまとめ、現在印刷中である。 Sulfur restriction extends fission yeast chronological lifespan through Ecl1 family genes by downregulation of ribosome. Ohtsuka H, Takinami M, Shimasaki T, Hibi T, Murakami H, Aiba H. Mol Microbiol. 2017 Apr 7. doi: 10.1111/mmi.13686. [Epub ahead of print]
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究が順調に進展し、論文にまとめるまでに至った。 今後はこれをさらに掘り進めて行きたい。
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Strategy for Future Research Activity |
未だEcl1 familyタンパク質の分子機構はわかっていない。 今後、分子レベルでのこの働きを明らかにすることが、高等生物での応用につながると信じている。 今後は、主にEcl1 familyタンパク質の分子機構を明らかすることに焦点を当てて解析を行いたい。
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Causes of Carryover |
分裂酵母一遺伝子欠損株のセットを用いた寿命測定のスクリーニングと薬剤を用いた寿命測定のスクリーニングが、当初の予定より早めに良い結果が出てしまった。 このため、予定金額より少額で研究を行うことができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初掲げていた目標の何割かは終わらせることができた。 引き続き、Ecl1 familyタンパク質の分子機構の解析に焦点を当てて、解析を続けていく。
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