2017 Fiscal Year Research-status Report
Geobacter属細菌の細胞外電子伝達ネットワークの解明
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16K07671
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
井上 謙吾 宮崎大学, 農学部, 准教授 (70581304)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 鉄還元菌 / Geobacter / 細胞外電子伝達 / シトクロムc |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄還元菌・発電菌として代表的なGeobacter sulfurreducensの標準株PCA株は細胞外電子伝達にOmcB、OmcS、OmcZなど複数種のc型シトクロムを利用する。それらc型シトクロムは細胞外膜周辺に局在している。本研究では、それらc型シトクロム同士の相互作用について詳細を明らかにすることを目的とする。 <OmcZLの精製と結晶化> 微生物燃料電池で高い出力での発電に必須なOmcZは、ペリプラズムでは水溶性の高い50 kDaのシトクロムOmcZLとして存在するが、その後、プロテアーゼOzpによる切断を受けて30 kDaの水溶性の低いOmcZSになる。C末端に6個のヒスチジンを付加したOmcZL全長を組み込んだ発現用ベクターを構築し、ozp欠損株に導入した。OmcZLの大量調製、および精製を行った。精製OmcZLはSDS-PAGE上で単一のバンドとして確認できる程度に精製されていることが明らかになったため、1,152種類の結晶化条件を検討し、OmcZLの結晶を得ることに成功した得られたOmcZLの結晶のうち、一部はX線回折データの取得を試み、最大1.0Åの分解能の反射データを得ることに成功した。現在、構造決定のためのX線回折データの精密化の作業を行うと共に、より良質な反射データの取得に向けて結晶化条件のさらなる検討を行っている。 <共免疫沈殿法によるシトクロムの相互作用解析> OmcZSを抗原として作製された抗OmcZ抗体を用いて共免疫沈殿を行った。OmcZと相互作用する可能性のあるタンパク質を取得することに成功し、SDS-PAGEに供したところ、複数のバンドが見られた。このことから、OmcZは複数種のタンパク質と相互作用する可能性が示唆された。現在、それらタンパク質の同定を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OmcZLについて、X線結晶構造解析により、構造決定が可能なデータの取得に至っている。また、OmcZと相互作用するタンパク質についても一定の成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、OmcZLの結晶構造解析を進め、立体構造を決定する。決定された構造から、分子内の電子伝達経路の予測、電極あるいは他のシトクロムタンパク質との相互作用部位(分子表面)を予測する。OmcZの共免疫沈殿によって得られているOmcZと相互作用を行うタンパク質についてはMALD-TOF/MSなどを用いて同定する。OmcS、および、OmcBについても発現系を構築し、精製・結晶化を試みる。
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