2017 Fiscal Year Research-status Report
小孔形成レクチンを基盤とした細胞傷害能を有する新規機能性分子の構築
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16K07685
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
上妻 由章 茨城大学, 農学部, 教授 (10284556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 崇 九州大学, 農学研究院, 助教 (20380553)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 小孔形成レクチン / ガン細胞傷害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、小孔形成能を有するレクチンであるCEL-IIIを基盤分子として、ガン細胞除去などの応用が考えられる新規細胞傷害性機能性分子を創出することを目的に、1)CEL-IIIの小孔形成能の制御系の構築、2)ランダム変異等の導入によるCEL-III の糖結合特異性の改変、および、3)1と2を組み合わせた新規なガン細胞特異的傷害性CEL-III 分子の創出を行う。 H28年度は、上記1)の小孔形成能制御のためのCEL-IIIへのSS結合の導入による還元剤活性型CEL-IIIの作製を試みたが、効果的な制御作用を示す変異体を得ることができなかったので、H29年度はその変異体作製を継続した。6つのCEL-Ⅲ変異体(I10C/S348C、Y155C/S328C、W286C/T329C、I330C/S350C、E331C/S350C、V341C/V345C)の発現系を構築し、蛋白質発現・精製を行い、還元剤の存在、非存在下で溶血活性を測定した結果、いくつかの変異体では還元剤非存在下において溶血活性を示さず赤血球凝集活性のみを示し、更に還元剤存在下では1つの変異体(E331C/S350C)で溶血活性を示したことにより、CEL-IIIの小孔形成能を制御できる変異体を得ることができた。 次に上記2)糖特異性の改変については、作成したファージライブラリーを使用して、ガン化細胞株(U937)を用いて、ガン化細胞株特異的なCRD1変異体のスクリーニングを行った結果、1種類のクローンを得ることができ、その構造的特徴について解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究内容1)の小孔形成能制御のために、CEL-IIIへのジスルフィド(SS)結合の導入による還元剤活性型CEL-IIIの作製を試み、1種類の変異体が還元剤による制御作用が可能な変異体として機能しうることが示された。しかし、制御に必要な還元剤濃度については、より詳細な検討が必要であり、場合によっては、より効果的な制御機構の導入のために、E331C/S350C変異体を中心にした詳細な変異体解析の必要性が考えられる。上記2)糖特異性の改変については、昨年度作成したファージライブラリーの配列にミスが見つかり、新しくライブラリーの構築も行ったため、スクリーニングと塩基配列の解析が遅れ、上記1)との組み合わせによる傷害性CEL-III分子の構築まで、至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度以降の研究推進の方策としては、まず、1)の小孔形成能制御について見通しがついたので、還元剤濃度の検討および必要であれば変異部位を調整したCEL-III変異体の解析をおこない、効果的な還元剤非存在下で溶血活性を示さず、還元剤存在下で溶血活性を発揮するCEL-III(GA-CEL-III)を作製する。また、2)CRDを用いた糖特異性の改変によるガン化細胞特異的CRDの構築については、H29年度に作製した変異CRD1分子ライブラリーを用いて、より多くのガン化細胞株(U937、K562、Jurkat、HeLaなど)と結合させ、パニングのサイクルを数回繰り返すことで、それぞれのガン化細胞株特異的なCRD1変異体(CS-CRD)を選抜して、構造や細胞結合能を解析する。 最終的に、それまでに得られたCS-CRDとGA-CEL-III について、両者を組み合わせた変異体CEL-III(CSGA-CEL-III)を発現し、細胞傷害能など様々な活性を検討する。
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Causes of Carryover |
(理由)変異体作製実験については、H28年度にその作製が遅れてしまったことから、H28年度分の研究費(試薬、器具等の消耗品費、旅費など)の未使用額相当分が、H29年度で消化できず、大部分繰り越してしまったことが大きな理由である。 (使用計画)H30年度は最終年度であり、ある程度の研究の道筋も見えてきたことから、研究を完成するために、予定していた実験を全て行うつもりである。また、学会発表なども行うことにしているので、H29年度の残余額とH30年度の予定額と合わせた研究費をH30年度に使用する予定となっている。
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Research Products
(1 results)