2017 Fiscal Year Research-status Report
アルカロイド生産におけるウラシル輸送体の生理的役割と一次代謝維持機構の解明
Project/Area Number |
16K07702
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
士反 伸和 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (20547880)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アルカロイド / ウラシル輸送体 / 一次代謝 / 二次代謝 / タバコ |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の一次・二次代謝産物は、様々な代謝物がオルガネラ間を動きながら、複雑な代謝経路を経て生合成されている。しかし、細胞内の輸送機構や、それら輸送能が一次・二次代謝生産に及ぼす影響などは殆どわかっていない。本研究では、タバコアルカロイド生産と共発現する色素体へのウラシル輸送体を過剰発現、発現抑制する培養細胞や毛状根を作出する。これら形質転換体のアルカロイド生産をon/offした際の代謝物変化を網羅的に解析し、アルカロイド生産次におけるウラシル輸送体の生理的役割と一次代謝の維持機構を解明する。これら研究から、より効率的なアルカロイド生産系に繋がる基礎的知見を得る。 本年度は、ウラシル輸送体の発現変化による代謝産物の変動をより効率的にみるため、誘導プロモーター下にウラシル輸送体を組み込んだベクターの作出を行った。誘導による過剰発現用のベクターとしてpTA7001-DESTおよびpFZ19を、また誘導による発現抑制用のベクターとしてpOpOff2を選択した。過剰発現用には全長遺伝子を導入し、また抑制用には部分断片の導入を目指した。エントリーベクター(pENTR1A)には全長および部分断片は問題なく入ったが、デスティネーションベクターへの組み込みに少し手間取ったため、特に発現抑制用ベクターとしては、誘導型を諦め、構成的に発現抑制するベクターへと切り替えた。一方、発現誘導型は完成させることができた。現在までにアグロバクテリウムへの導入およびタバコ培養細胞への感染を行っており、作出でき次第、誘導および代謝物の変動解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ベクター構築において、想定よりもデスティネーションベクターの作成で問題があり完成が遅れました。最終的にベクターとして発現抑制型では誘導型を諦めて構成的に抑制するベクターに切り替え、まず必要とするベクターは完成したので、以降の研究の推進に尽力していきます。
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Strategy for Future Research Activity |
作成したベクターを用いて、タバコ培養細胞の形質転換体を作出する。また、培養細胞での解析が最優先だが、同時にタバコ植物体およびタバコ毛状根の発現誘導体や抑制体も作出する。これらについて、発現を誘導/抑制させ0、6、12、24、36、48時間でサンプリング、ウラシル輸送体の発現変化をウェスタンブロットで解析するとともに、細胞内の代謝物の変化を調べる。また、ジャスモン酸でアルカロイド生産を誘導した際のアルカロイドの生産量の変化についても、同様に解析を行う。本年度はMSを研究室に導入することを予定しており、より迅速な代謝物の定量解析を行うなど、より効率的に本研究を推進するとともに、論文化を目指す。
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Causes of Carryover |
実験に用いるための発現誘導/抑制用のベクターの作出に手間取り、研究の進行が少し遅れ、後半に行う予定だった実験用の試薬購入を行わなかったため、次年度使用額が生じました。ベクター構築が完成したため、次年度ではより研究の進展(LC-MSによる代謝物の網羅的な解析など)に尽力する予定であり、そのための試薬や物品の購入に用いて行く予定です。
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