2017 Fiscal Year Research-status Report
anammox菌のシトクロムc成熟系の反応機構解明と応用
Project/Area Number |
16K07703
|
Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
平 大輔 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (00569890)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ヘムタンパク質 / 異種発現 / 鉄貯蔵 |
Outline of Annual Research Achievements |
嫌気性アンモニア酸化(anammox)菌を利用した廃水処理は、革新的窒素除去技術であり、既に実用化の段階にある。anammox菌の代謝については不明な点が多く、我々は各素反応を触媒する未知の酵素を同定し、それらの特徴を解明してきた。この過程でanammox菌は多量のc型ヘムタンパク質・酵素を発現していることが明らかとなってきた。これらc型ヘムはタンパク質と共有結合しており、その成熟には特異な成熟系が必要とされることがわかっている。本研究では、anammox菌が有するシトクロムc成熟系System IIを対象とし、その生化学的詳細を解明することを第一の目的とした。さらに第二の目的として、SystemIIの応用によるマルチc型ヘムタンパク質発現系の実現を目指している。平成28年度には、anammox菌KSU-1株由来のSystem II遺伝子ResBCの発現を試みたが、活性を有するタンパク質を得ることができなかった。そこで、対象のResBC遺伝子を好熱菌由来のものに変更し、同様の発現系構築を試みた。本年度(29年度)、この発現系を用いて活性を有するResBCタンパク質を得ることができた。この発現系を用いることで、ResBCタンパク質の大量調製にも目途がついた。また、ヘムに含まれる鉄原子は、その反応性が高く毒性を示すことから、細胞中ではその濃度が制御される必要がある。即ち、細胞内には、鉄原子の貯蔵システムがあり、代表的な鉄貯蔵タンパク質としてフェリチンが知られている。一方、anammox菌においては、フェリチンとは異なる新奇なタンパク質が鉄貯蔵タンパク質として機能していると推定されている。これについても異種発現系を構築し、その精製タンパク質を得ることが出来た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
活性を有するResBCの調製ができた。さらに、鉄貯蔵に関わるタンパク質についても精製試料を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
活性を有するResBCの結晶化を行う。さらに、鉄貯蔵に関わるタンパク質についても精製試料を用いて構造生物学的研究を実施する。
|
Causes of Carryover |
(理由) タンパク質発現に用いる大腸菌株の購入を見送ったため。 (使用計画) 鉄貯蔵タンパク質の発現用の大腸菌株を購入する予定
|
Research Products
(4 results)