2017 Fiscal Year Research-status Report
A novel choline-O-acetyltransferase from plant
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16K07704
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Research Institution | Suntory Foundation for Life Sciences |
Principal Investigator |
村田 純 公益財団法人サントリー生命科学財団, 生物有機科学研究所・統合生体分子機能研究部, 研究員 (90500794)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アセチルコリン / アセチルコリン合成酵素 / イラクサ / 酵素精製 / ペプチドMSフィンガープリンティング / 質量分析イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
植物におけるAChの生理機能を明らかにするうえで、AChが植物体のどの組織・細胞に局在しているかは有益な周辺情報と考えられる。しかしAChの局在について詳細な解析例はない。イラクサの場合、刺毛付近にAChが蓄積することが知られているが、具体的に刺毛のどの部分にAChが局在しているのか、組織・細胞レベルでは明らかになっていなかった。
そこでまず、刺毛のみを集めることを試みた。1.5 cm長程度に切除し液体窒素中で凍結したイラクサ葉柄をビーズと共に複数入れて振とうすることで、葉柄本体から刺毛のみを回収することに成功した。次いで刺毛のみ、刺毛+葉柄本体、葉柄本体のみ、およびこれらに葉を加えた合計4種のサンプルから抽出液を得て、LC-MS/MS分析に供した。その結果、ACh含量は葉に比べて葉柄本体で数倍程度であるのに対し、刺毛のみからの抽出液では数十倍程度高い濃度のAChを含有することが明らかとなった。
上記方法で刺毛に選択的にAChが蓄積することが判明したが、より詳細なACh組織局在情報を得るため、多段階質量分析イメージング法によりイラクサ葉柄の刺毛の凍結切片からACh由来の断片化イオンを検出することを試みた。その結果、刺毛の基部および刺毛の先端部よりAChのシグナルを検出した。一方で、葉柄本体のAChシグナルは相対的に非常に低いレベルにとどまった。刺毛全体のうち基部は体積的にごく一部であるため、刺毛のAChの大半は刺毛の先端部に蓄積すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AChのような低分子化合物に対する抗体は一般に特異性の担保が困難である。そこで質量分析イメージング技術を用い、これまで詳細が不明な、植物組織内でのAChの局在性解析を試みた。凍結切片作成手順やマトリックス添加法などを最適化することで、当初の予定通りにAChの組織局在を直接的に観測することができたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
イラクサACh合成酵素の基質選択性を検証し、1)酵素精製、2)遺伝子クローニング、3)AChの組織局在解析までをまとめて論文投稿する予定。
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Causes of Carryover |
質量分析イメージングのサンプル準備方法の最適化が当初想定よりも順調に進んだため。
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Research Products
(1 results)