2017 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質の糖鎖修飾がユビキチン化のシグナルとなる機構の解明
Project/Area Number |
16K07705
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
吉田 雪子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 主席研究員 (90271543)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ユビキチン / ユビキチンリガーゼ / F-boxタンパク質 / リソソーム / オートファジー / 糖タンパク質 / 細胞品質管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
F-boxタンパク質はユビキチンリガーゼの基質認識サブユニットであり、SCF型ユビキチンリガーゼとして機能する。ヒトではおよそ70種類あるF-boxタンパク質のうち、3つのF-boxタンパク質FBXO2,FBXO6,FBXO27はN結合型糖鎖を認識する。N結合型糖鎖を持つ糖タンパク質は細胞外もしくは小胞体などの分泌経路のオルガネラの内側に存在するが、糖鎖認識F-boxタンパク質は細胞質に存在するため、両者は膜で隔てられている。糖タンパク質をユビキチン化するためには、糖タンパク質が細胞質へ出てくる必要があり、小胞体で正しい構造が取れなかった異常タンパク質が細胞質へ逆行輸送される小胞体関連分解(ERAD)に関わるユビキチンリガーゼであると考えてきた。今回の研究により、糖鎖認識ユビキチンリガーゼの新たな機能を解明した。FBXO27はミリストイル化により細胞内膜に結合しており、損傷を受けて糖鎖が細胞質へ現れたリソソームやエンドソームに効率良く集積する。特にリソソームが損傷を受けた際に細胞質へ漏れ出した糖タンパク質LAMP1,LAMP2が、FBXO27により認識され、ユビキチン化を受けることを見出した。これまで、損傷リソソームの表層にあるユビキチン鎖が目印となりオートファジーが引き起こされることで損傷リソソームが細胞内から除去されるリソファジーと呼ばれる生体防御機構に関して、どのようにリソソームの損傷が認識されるのかは不明であったが、FBXO27による糖鎖認識がひとつの機構であることが判明した。この成果はProc. Natl. Acad. Sci. USAに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖鎖認識F-boxタンパク質の機能解析を行うことで新たな細胞品質管理機構を提唱することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
FBXO27の細胞レベルの解析から個体レベルへの解析と進めるために、FBXO27のノックアウトマウスを作製し、特に脳にアミロイドが蓄積した際に野生型に比べその伝播などに影響がないかを調べる。また、mRNAレベルでは脳や胎盤に発現が限局されると考えられるが、タンパク質レベルで詳細に発現解析するためにFBXO27-GFPノックインマウスを樹立中である。これらの解析を行うことでマウス個体中でのFBXO27の機能の理解をさらに深めたい。
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Research Products
(6 results)