2016 Fiscal Year Research-status Report
食事条件に対する消化管栄養素感受性の適応機構の解明と制御
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16K07725
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
比良 徹 北海道大学, 農学研究院, 講師 (10396301)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 消化管内分泌系 / 食事誘導性肥満 / GLP-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
以前の試験において、耐糖能異常、肥満を強く誘導する高脂肪高ショ糖食で見られた栄養素感受性(食後GLP-1分泌応)の亢進が見られた。この作用は、高脂肪によるものか高ショ糖によるものかを明らかにするため、初年度の試験においては、普通食、高脂肪高ショ糖食、高脂肪食、高ショ糖食をそれぞれ正常ラットに5週間自由摂取させた。 その結果、試験2週後の食事負荷試験(普通食を10 g/kg給餌)において、高脂肪高ショ糖食群と同様に、高脂肪食群において、食事負荷後のインスリン分泌がコントロール群に比べて増加した。また、GLP-1分泌応答もこの2群で増加した。一方、高ショ糖食群ではコントロール群との違いは見られなかった。 試験4週後では、高ショ糖食群でも高脂肪食群と同様に食後血糖、インスリン、GLP-1分泌応答がコントロール群に比べて増加した。これらの結果より、食後インスリン分泌やGLP-1分泌増加には、高ショ糖よりも高脂肪が早期に影響を与えることが明らかとなった。 また、最終の体重、脂肪組織重量に関して、高脂肪食群では高脂肪高ショ糖食群と同様にコントロール群に比べて有意に増加したが、高ショ糖食群ではいずれも増加傾向が見られたのみであった。血中のコレステロール濃度も同様の変動となった。 さらに、腸管のGLP-1産生も同様に高脂肪食が強く影響し、GLP-1産生を増加させることが示された。以上により、高ショ糖食よりも高脂肪食が、肥満、脂肪蓄積、ならびに食後GLP-1分泌応答の増進、消化管GLP-1産生にも強く影響することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肥満誘導食として高脂肪高ショ糖食を用いたが、摂食量が安定せず早期での体重増加が得られないことがあった。また、食事負荷試験では、絶食再給餌により普通食を負荷したが、強制投与ではないため、必要量の飼料を摂取させることができない個体が多く、再試験が必要となった。これにより全体のスケジュールに遅れが生じたため、予定通りの解析に着手できなかった。このため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
食事誘導性肥満として、より早期に体重増加を誘導するため、高脂肪高ショ糖食だけでなく、砂糖水を自由摂取させる手法を導入する。また食事負荷試験においては、再給餌による自発摂取ではなく、液体食を強制投与することで安定的に食事を投与する手法を導入する。
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Research Products
(3 results)