2017 Fiscal Year Research-status Report
自発運動と食品因子によるメタボリックシンドローム改善の相加・相乗効果に関する研究
Project/Area Number |
16K07729
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
井上 奈穂 山形大学, 農学部, 准教授 (90510529)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | in vivo / in vitro / メタボリックシンドローム / 生活習慣病 / スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ホイールケージを用いた自発運動評価系と、各器官由来細胞を用いた食費入来機能性成分の探索系を併用し、メタボリックシンドローム、特に、肥満、脂質代謝異常に対する「運動療法」と「食事療法」の相互作用について検討することを目的としている。従来、食品由来成分の機能性評価を行う場合、混餌あるいは経口投与による動物実験が広く行われている。しかしながら、昨今、動物実験をできるだけ少なくする、あるいは排除するという気運が世界的に高まっていることもあり、培養細胞などによるin vitro試験の確立が代替法として求められている。昨年度の研究で、培養細胞を用いた食品成分のスクリーニング系を構築した。そのスクリーニング系をもとに、食品AとBを選抜し、さらに、それらの水溶性画分にメタボリックシンドローム(肥満および高血圧)改善に有効な成分が含まれることが示唆された。そこで、今年度は、AとBから熱水抽出物を大量に調製し、飲水による試験を行った。C57BL/6Jマウスに脂肪を60%(カロリーベース)で含む食餌を与え、食事誘発性肥満を発症させ、週に1度血圧測定を行って、肥満および高血圧に対する影響について検討した。対照群には水を与え、さらに、AとBに共通して含まれる成分としてある種のアミノ酸を特定できたことから、「対照群(水)」「Aの熱水抽出物」「Bの熱水抽出物」「アミノ酸」の計4群で飲水試験を行った。その結果、対照群と比較して、3つの実験群はいずれも飼育4週目での血圧低下作用が認められた。しかしながら、肥満に対する影響はいずれも認められなかった。血圧低下作用が発揮された一因として生体の酸化ストレスの抑制が考えられたが、細胞試験で認められた要因とは明らかに異なっていたため、今後、より精度の高いスクリーニング系の構築を目指していく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の細胞実験のスクリーニング系で選抜した成分が、動物実験でもメタボリックシンドローム改善に有用であることが再現できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度の細胞実験のスクリーニング系で選抜した成分が、動物実験でもメタボリックシンドローム改善に有用であることが再現できたが、動物実験で得られた作用機序は全く別の機序であったため、更に精度の高いスクリーニング系の構築を目指す。
|
Causes of Carryover |
(理由) 29年度に行った動物実験で、一回で実験する群数を増やし、回数を一回分減らしたため。 (使用計画) 30年度により精度の高いスクリーニング系の構築を目指し、またその確認のための動物実験の回数を増やして使用する。
|