2019 Fiscal Year Research-status Report
Biological activities of multifunctional protein in milk and their applications
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16K07745
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
川上 浩 共立女子大学, 家政学部, 教授 (90458860)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 食品機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに明らかにしてきたラクトフェリン(LF)結合成分中のすべてのペプチドを化学合成し、モノクローナル抗LF抗体を固定化したカラムで精製した高純度LFとの免疫調節活性の違いを比較した結果、いずれのペプチドにも活性が認められなかった。そこで、分子量8,000未満にターゲットを絞った分析条件で、LF結合成分に含まれるペプチドを網羅的に明らかにするため、LC-MS/MSショットガン法による解析を行った。ダイレクトフローnanoLCシステムEasy-nLC 1000に、トラップカラムAcclaim Pep Mapおよび分析カラムNANO HPLC CAPILLARY COLUMNを接続して分析した。移動相はA液0.1%ギ酸、B液0.1%ギ酸/アセトニトリルとし、流速 300nL/分で濃度勾配をかけて流し、質量分析計Q Exactive Plusで検出した。解析ソフトウェアはProteome Discoverer、検索エンジンはMascot、データベースはSwiss Protを用いた。その結果、LF結合成分には新たに352種類のペプチドが存在することが明らかとなった。これらペプチドの分子量は783~3,776の範囲にあり、現在まで公知になっていないペプチドも含まれていた。 マウスマクロファージRAW264.7およびヒト腸管上皮細胞Caco-2を、LPSおよびIFN-γで刺激して炎症性サイトカインと一酸化窒素(NO)を産生させ、高純度LFおよび各種ペプチドによる抗炎症作用を調べた。培養上清中の炎症性サイトカインを特異抗体によるELISAで測定した結果、複数のペプチドにTNF-α、IL-1βおよびIL-6の産生を抑制する活性がみられた。また、Museセルアナライザーを用いて、生細胞内部で産生されたNO量を測定したところ、NO産生を亢進するペプチドと抑制するペプチドの両方が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスのパンデミックにより、年度末2か月間に大学施設内での研究活動の自粛が大学から要請されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度になるので、目標とした成果が出せるように本研究を推進したいが、現時点(6月初旬)においても学内での研究活動が解禁されていないため、研究を実施できるようになりしだい速やかに再開する。
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Causes of Carryover |
パンデミックの影響で年度末に計画していた動物実験が実施できず、実験動物や関連の消耗品類を購入しなかったため、次年度使用額が生じた。未実施の実験は、学内での研究が解禁されしだい推進する。
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Research Products
(2 results)