2016 Fiscal Year Research-status Report
経皮感作する食物アレルゲンの同定と、抑制しうる食品因子の検討
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16K07756
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
森山 達哉 近畿大学, 農学部, 教授 (60239704)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 経皮感作 / 食物アレルギー / 経皮感作モデル / 経皮感作アレルゲン / 食物アレルゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、マウス等を用いて経皮感作のモデル系を確立し、石けんや化粧品などに配合されることの多い食品素材に含まれるタンパク質成分のうち、どのような食品タンパク質分子が経皮感作されやすいのかということを確立したモデル系を用いて検証する。今回、これまでに構築した経皮感作モデル系を改良させ、より早期に安定的に個体差も少なく経皮感作を起こす系の構築を中心に検討した。これまでの系では、マウスの皮膚を剃毛後、テープにてストリッピング(バリア機能の破壊)を行い、そこに、食品タンパク質溶液を界面活性剤であるSDSと共にハケで週3回塗布することで経皮感作を引き起こしていたが、感作度合いの個体差が大きいという問題があった。そこで、今回はこの方法を改良・高度化し、テープストリッピング(TS)なしで、週5回塗布する方法を卵白抗原を用いて検討したところ、TS処置で週3回塗布する方法よりも早期にIgE値の安定的な上昇、個体差の減少などの好ましい効果が得られた。さらに、抗原タンパク質濃度についても変化させて検証している。こうして鶏卵抗原を経皮感作させ、感作したタンパク質をウエスタンブロッティングにてIgE、IgG1結合タンパク質を検出することで検証したところ、主要な卵白アレルゲンとして知られているオボムコイドやオボアルブミンを含む複数の抗原候補アレルゲンが検出され、本モデル系が臨床的にも相関しうる評価系であることが示唆された。さらに、経皮感作後に抗原を経口的に投与し、アレルギー反応を惹起しうるかどうか検討したところ、直腸温度の低下やアレルギー応答行動の増加、ヒスタミンの増加などのアレルギー反応が確認された。また、今後、経皮感作しうるかどうか検討する植物性汎アレルゲン(PR-10、Gly m4、ソーマチンライクプロテイン、プロフィリン)について、そのアレルゲン性、定量系、特性等の評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのモデル系に比べて、早期に感作が成立し、かつ操作が簡便で個体差も少ない経皮感作モデルを構築することができ、そのモデル系にて新たな食品抗原を経皮感作させることができたため、順調に推移していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、構築した経皮感作モデル系を用いて、主要な食物抗原を感作させ、主要な経皮感作抗原を同定する。主要な食品抗原としては、既に検討している、大豆、卵、ソバ、の他に、牛乳、小麦、果物、花粉などを検討している。また、経皮感作時に用いる界面活性剤の種類や濃度、抗原濃度、抗原の形状などを変えて、感作能の変化を検討する。
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Causes of Carryover |
3月分の謝金支払いや、3月末の学会の出張旅費分の精算が、年度末の会計処理に間に合わなかったため。また、実験で使用する試薬の一部の在庫がなく、年度末までに発注納品が間に合わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
3月分の謝金支払いや3月分の学会旅費の支払いは4月に決算する予定である。また、納品に時間が掛かる試薬の発注は4月以降に行う予定である。
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