2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study on mechanism of effects of food processing on glycemic response
Project/Area Number |
16K07760
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
佐々木 朋子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (10353939)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 澱粉 / 酵素分解性 / 米ゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はゲル状食品の加工条件による内部構造の改変と消化酵素の浸透性阻害作用の関連性を解明するために、高アミロース米から米ゲルおよび米粉ゲルを調製し、加工条件がゲルの澱粉消化性に及ぼす影響を解析した。 高アミロース米5品種の精白米について、米の重量に対して3倍の水を加えて炊き上げた炊飯米を調製した。炊飯米は25℃および75℃の恒温槽に30分間静置した後、撹拌せん断処理を行い、米ゲルを調製した。一方で、米ゲルを調製した5品種の高アミロース米を製粉し、米粉ゲルを調製した。これらの試料に人工消化液を作用させ、一定反応時間での澱粉分解率の測定を行った。 米ゲルの消化酵素による澱粉分解率には顕著な品種間差が認められた。さらに、75℃に保持した炊飯米から調製したゲルは、炊飯後25℃に冷却した米から調製したゲルよりも、すべての品種において、澱粉分解率が低くなる傾向が認められた。走査型電子顕微鏡による内部組織の観察により、75℃に保持した炊飯米から調製したゲルは気泡が小さく、密な網目構造をもつ傾向が観察されたため、ゲルの構造特性が消化酵素の浸透性に関与している可能性が示唆された。また同品種の米から調製した米ゲルと米粉ゲルについて消化酵素による澱粉分解率を比較した結果、米粉から調製したゲルの方が炊飯米から調製した米ゲルよりも澱粉分解率が高くなる傾向が見られた。一方で、米ゲルの素材となる炊飯米の澱粉分解率の品種間差と米ゲルの澱粉分解率の品種間差は必ずしも同じ傾向を示さないことが明らかになり、米ゲルの澱粉消化性の品種間差には素材特性に加えて加工条件の差に起因する物理的要因が関与していることが考えられる。
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