2017 Fiscal Year Research-status Report
食経験の豊富な納豆菌を利用した食品産業用酵素開発の超高速度化
Project/Area Number |
16K07762
|
Research Institution | Saitama Institute of Technology |
Principal Investigator |
秦田 勇二 埼玉工業大学, 工学部, 教授 (20399562)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 納豆菌 / プラスミド / ベクター / シャトルベクター / GFP |
Outline of Annual Research Achievements |
安全性の担保された納豆菌を生産宿主として利用した酵素高生産ツールの完成を目指す。その結果として、これを応用することで食品産業用酵素の開発の高速度化が期待できる。納豆菌株T株より我々が新たに発見したプラスミドDNA(pTHK)の配列・機能解析・応用検討を進める。28年度までにpTHKの全領域の中で、納豆菌内でプラスミド複製に必要な領域と、複製には必須ではない領域とにグループ分けすることができた。この結果を基盤として29年度は同プラスミドの小型化を図った。具体的にはプラスミド上に存在するORF(推定)群の中でどのORFがプラスミドの複製に必要で、どのORFは必要ではないのか繰り返し調査したことで必要なORFが特定され、さらに被複製開始領域と推定できる領域も見い出され、これらの情報を統合することで、元のプラスミドの大きさの約60%の大きさにまで小型化したプラスミドに取得に成功した。好ましいことに、小型化したプラスミドは元来のプラスミドよりも納豆菌への導入効率が飛躍的に向上した。続いて、最小化できたプラスミドと大腸菌由来のプラスミドを連結して納豆菌-大腸菌シャトルベクターを構築することにも成功した。本シャトルベクターを使用すれば、複雑な遺伝子操作は大腸菌を宿主として実施し、完成されたプラスミドを最終的に納豆菌に導入すれば良いことになる。また、本シャトルベクターにGFP遺伝子を導入し、大腸菌内でGFPタンパク質の高生産も確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
納豆菌から発見したプラスミドDNAの機能解析が順調に進み、このプラスミドをより応用しやすいサイズに小型化できた。引き続き遺伝子操作の簡便さを考慮して、大腸菌とのシャトルベクターの構築にも成功した。これらの進捗から、操作性が一段と向上したベクターが構築できていると判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
先ずは構築が進んでいるベクターに外来遺伝子としてGFP遺伝子を挿入し、構築できたプラスミドDNAを納豆菌に導入し、外来遺伝子(GFP遺伝子)が納豆菌内で安定に保存され、しかも効率よく発現されることを確認する。同時に形質転換効率の高い納豆菌への遺伝子導入法を検討する。さらにGFP遺伝子以外にも納豆菌に糖質分解酵素遺伝子など外来である酵素遺伝子を導入し、酵素の生産を試みる。
|
Causes of Carryover |
プラスミドDNAの小型化により大腸菌プラスミドDNAとのシャトルベクターの構築が可能となった。DNAの配列を確認する際に納豆菌から調製したプラスミドDNAよりも大腸菌から調製したプラスミドDNAの方が質が良く、DNAシークエンス解析結果が良好であり、DNAシークエンス解析の費用が節約でき、さらに予定していた実験日程よりも早く次の実験へと進行することができた。費用と時間の効率化の効果が顕著に現れている。従って次年度は当初の予定よりもさらに一歩前に進んだゴール設定が可能であると認識している。
|
-
-
-
-
[Book] 食と微生物の事典2017
Author(s)
北本勝ひこ等編、秦田勇二、大田ゆかり等
Total Pages
512
Publisher
朝倉書店
ISBN
978-4-254-43121-6