2017 Fiscal Year Research-status Report
最適採材による用材・燃料材区分を考慮した都道府県別・間伐材生産量予測モデルの開発
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16K07772
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣嶋 卓也 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 講師 (40302591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 徹 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (10598775)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 間伐 / 搬出 / 最適採材 / 用途別 / 都道府県別 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,昨年度収集できなかった都道府県別・間伐材に関する需要要因データとして,製材所・バイオマス発電所の数・出力規模のデータを収集した。またカスタマイズ版システム収穫表LYCS(サブモデル)より,昨年度確定した,最適採材パターンの出力フォーマットに従い,都道府県別・樹種別(スギ・ヒノキ・カラマツ)・齢級別・径長別の最適採材パターンを出力した。そして収集データを元に,都道府県別の木質バイオマス需要量(海外からの輸入を前提としたPKS等も含む)を推定し,あわせてサブモデルより,都道府県別の木質バイオマス出材可能量(供給量)を概算し,需要量と供給量の比較を行った。その結果,岐阜,静岡,宮崎等では,供給可能量が需要量に充たないのに対して,北海道,鹿児島等では供給可能量が過大あることが示唆された(ただし,県境を跨いだ木材の流入出を踏まえると,都道府県単位で需給量を比較することには限界があることに注意が必要)。この結果は,第129回日本森林学会で口頭発表した。 また利用間伐予測モデル(メインモデル)の改良として,上記サブモデルからの最適採材パターン出力を受けて,都道府県別・用途別(製材・合板・パルプチップ)間伐材積を算定する機能を追加中である。また改良前のメインモデルを利用した,都道府県別の搬出間伐材積の計算を行った。その結果,北海道,熊本がとくに大きな材積となり,また秋田,長野,静岡,大分,宮崎,鹿児島も大きな材積となった。この結果は,Journal of Forest Research誌に論文投稿し,受理・掲載された(Hiroshima et al. (2018) J. For. Res. 23)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由) 本研究に係るデータ収集,サブモデル(システム収穫表LYCSをカスタマイズしたもの)およびメインモデルの改良において,今年度計画されていた事項は以下の通り概ね達成された。 ・データ収集(達成度90%):以下の都道府県別・間伐材に関する需要要因データ収集-製材所・バイオマス発電所の数・出力規模(達成度90%) ・サブモデルの改良(達成度100%): システム収穫表LYCSより,県別・樹種別・齢級別・径長別の最適採材パターンを求める(達成) ・メインモデルの改良(達成度50%):用途別間伐材積を算定する機能を追加する(未達-現在進行中,進行度50%)
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Strategy for Future Research Activity |
・データ収集:H29年度に一部収集できなかった都道府県別・間伐材に関する需要要因データ(製材所・バイオマス発電所の数・出力規模)の収集を完了する。 ・メインモデルの改良:サブモデルからの最適採材パターン出力を受けて,CO2吸収量および用途別間伐材積を算定する機能を追加する。 ・シミュレーションの実行:複数のシナリオに基づき,2020年国の素材生産目標達成に必要となる県別の間伐面積・搬出率を求めるシミュレーションを実行する。あわせてシナリオに応じた,国レベルの森林CO2吸収量を算定し,京都議定書第2約束期間の吸収目標の達成可否を確認する。 ・論文投稿:上記シミュレーション結果を論文投稿する。
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Causes of Carryover |
(理由)サブモデルによるビッグデータ(県別・樹種別・齢級別・径長別の最適採材パターン)を扱うデータベースの構築が遅れており,データベースソフトウェアの購入を見送った。あわせて,ビッグデータを扱うモバイル端末(PDA)の購入も見送った。そのため,当初計上予算のうち,主として,物品購入費(設備備品費含む)に余剰が出た。 (使用計画)次年度,前記ビッグデータの容量や仕様が確定し次第,モバイル端末およびデータベースソフトウェアの購入を進める。
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Research Products
(6 results)