2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K07773
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齊藤 陽子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (00302597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井出 雄二 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (90213024)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 個体数 / 繁殖 / 絶滅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、イチイガシおよびシオジについて、関東近郊で調査可能な小個体からなる林分を探索した。その結果、イチイガシについては、千葉県で、1個体(3か所)、2個体(1か所)、7個体(1か所)、20個体程度(1か所)、東京で1個体(1か所)、3個体(1か所)の8か所の少数個体からなる集団を調査地として設定できた。シオジについては、埼玉県で、7個体(2か所)、栃木県で6個体および12個体(計2か所)、静岡県で1個体および5個体(計2か所)、群馬県で3個体(1か所)の全7か所の調査地が設定できた。イチイガシについては7か所(1か所は落下種子を拾って回収)、シオジについては5か所(1か所は多個体からなる集団)にシードトラップを設置し設置し種子を回収したが、回収できた健全な種子数が少なく、発芽実験を行うには足りなかった。しかし、イチイガシについては、3個体および1個体の非常に少数の集団であっても種子を生産していることが分かった。また、調査地のうち、イチイガシ3か所、シオジ7か所で遺伝解析用に成木の葉をサンプリングし、シオジについては、3林分で実生と若木の葉もサンプリングした。これら葉と種子の胚について既存の核SSRマーカーを用いて遺伝解析を順次行っている。その結果、設定した埼玉県のシオジ林分は外部からの花粉の流入がある可能性が示唆された。一方、栃木県の2林分のうち1林分は、種子および実生とも確認できず、他の1林分は林分内でのみ交配している可能性が高いことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イチイガシおよびシオジについて、シードトラップで捕捉できた種子数が少なく、発芽実験を行うことができなかった点で遅れている。シオジについては、不作年であったと考えられる。また、孤立林分と思われた埼玉県のシオジ2林分は外部からの花粉の流入の可能性が高く、対象林分として適していないと考えられ、他の林分の探索が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度設定した調査地について、イチイガシについては全調査地、シオジについては栃木県および静岡県の調査地を対象として、再度シードトラップを設置して種子の捕捉に努める。昨年度よりシードトラップの設置期間および設置数を増やし、多くの種子を捕捉できるようにする。
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Causes of Carryover |
本年度は、特にシオジの種子が不作であり捕捉できた種子数が少なかった。また入手できたイチイガシの堅果も予定よりも少なかった。そのため、種子を発芽実験に用いることができなかったため、発芽実験関連の物品を買う必要がなかったことと、芽生えの遺伝分析用の試薬の購入金額も予定よりも少なくなったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は、より長期にわたり、より多くのシードトラップを設置することとする。そのため、シードトラップの部材、発芽実験のための用具を購入する。また、遺伝分析も今年度予定してた芽生え解析分を来年度行い、そのための試薬類を購入する。
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