2016 Fiscal Year Research-status Report
沖縄における海岸林の減災機能に関する歴史学的・植生学的研究
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16K07781
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
陳 碧霞 琉球大学, 農学部, 助教 (50606621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲間 勇栄 琉球大学, 農学部, 名誉教授 (70142362)
浦山 隆一 富山国際大学, 現代社会学部, 客員教授 (10460338)
鎌田 誠史 武庫川女子大学短期大学部, 生活造形学科, 准教授 (70512557)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 森林の減災機能 / 森林保全 / 森林文化 / 人と森林のかかわり / 海岸林 / 緑地管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、明和の大津波(1771年)やチリ地震(1960年)による津波被害で生き残ったフクギなどの巨木分布やその配置を調べ、歴史文献・毎木調査方法・聞き取り調査を用いてそれらの防風防潮林としての減災機能を明らかにし、さらに歴史的方法で、琉球列島における島嶼型減災に備える海岸林の植生構成、空間配置の原型を復元再建することである。 28年度、まずは防災海岸林及び沖縄集落研究に関連するレポート、研究論文(英文の国際誌論文も含め)を確認した。海岸林の防災機能に関する最新情報を収集した。また、八重山地方の明和大津波の被害に関する資料・研究論文などを石垣市史編集関係者から入手した。そして、調査地は石垣島の集落を中心として地域に行うことを決まった。 石垣島白保集落、与那国島祖納集落のフクギ屋敷林の毎木調査を行った。各集落に残存しているフクギ巨木を調査し、そのDBH(地面130㎝と地面30㎝の直径)と樹高を測定し、DBH 5㎝以上のものを記録した。27年9月29日、最大瞬間風速81.1メートルの記録的暴風が与那国島を襲ったため、フクギ屋敷林の防風効果を調べるために、与那国島の比川・祖納集落を調査地として決まった。 また、八重山地域の波照間島・竹富島・石垣島において、フクギの昔からの利用法、管理保全の課題及び今後の活用法について聞き取り調査を行った。フクギ屋敷林と昔の農業社会の関連が強かったことが明らかである。八重山地域では沖縄本島地域ではないようにフクギと神行事の関わりがあることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
明和の大津波に被害のあった、かつ歴史資料もあるために、石垣島とその周辺の離島を調査地として選定した。28年度は石垣島の南東部にある白保集落にてフクギ屋敷林の毎木調査を行った。白保集落には約700世帯があり、残存しているフクギ屋敷林の分布範囲が広いため、地元のボランティア団体に調査を依頼した。また、与那国島へ行く旅費が高額のため、少人数で多年度に調査を行っている。 29年度に予定していたフクギの利用法・保全策に関するヒアリング調査が28年度で行ったが、29年度と30年度にも補足調査を行う予定。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は、与那国島祖納集落におけるフクギ屋敷の毎木調査を行う。また、石垣島真栄里、平得集落のフクギ屋敷林を調査する予定である。 フクギの利用法・保全策に関するヒアリング調査は29年度と30年度にも補足調査を行う予定。
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Causes of Carryover |
石垣島にてフクギ毎木調査を地元のボランティア団体に協力してもらったことが大部研究費支出の節約に繋がった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の調査旅費に充てる予定である。
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Research Products
(6 results)