2017 Fiscal Year Research-status Report
森林被害評価にもとづく日本型シカ管理体制構築に関する研究
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16K07786
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Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
明石 信廣 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部林業試験場, 研究主幹 (40414239)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シカ / 人工林被害 / GIS / カラマツ |
Outline of Annual Research Achievements |
北海道の人工林の主な植栽樹種はカラマツとトドマツである。このうちカラマツについては食害を受けても樹高が前年よりも高くなることが多いが、生育期間中に繰り返し食害を受けることで成長量が低下する。そのため、樹高、被害率、食害回数の関係を明らかにし、被害率から樹高成長への影響を予測することができれば、カラマツに対するエゾシカ被害を評価することができる。 そこで、北海道釧路地方のカラマツ人工林において過去に現地調査を行ったデータを解析し、カラマツの樹高、被害率、食害回数、樹高成長の関係を検討した。 まず、1年間の食害回数と期首樹高の関係を、調査地をランダム効果とする順序ロジスティック回帰分析によってモデル化した。ここで、調査地ごとのランダム効果は被害レベルを示すと考えられる。これを被害レベル指数とする。 被害レベル指数は、林齢と被害率から推定することができた。樹高が高い個体は食害を受けにくいので、同じ被害率でも平均樹高の高い林分は被害レベルが高いといえる。また、樹高成長は食害回数と期首によって推定できた。これらの結果をもとに、林齢と被害率のデータから被害レベルを推定し、エゾシカ被害を受けたカラマツ幼齢林の樹高成長を予測することが可能となった。 天然林におけるエゾシカの影響について、簡易チェックシートによる評価を2014年から毎年行っている。そこで、2014年と2016年の結果を比較したところ、いくつかの地域でスコアに大きな増減がみられた。この理由として、食痕の減少などのエゾシカの影響の変化と調査担当者の交代による食痕等の確認能力の変化が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、シカによる人工林被害のモデル化を目指している。本年度は北海道の人工林においてシカ被害が発生している主要樹種であるカラマツについて、被害をモデル化することができ、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、関係機関からシカ被害等に関するデータを入手し、シカ被害の経年変化を解析できるよう整備する。 本年度の結果によって得られた被害レベル指数を、人工林被害に関するGISデータと結合することにより、北海道全体の被害レベルの分布を示す手法を検討する。この手法を複数年度のデータに適用することにより、被害状況の変化の地図化を検討する。
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Causes of Carryover |
(理由) 初年度に物品の購入や学会参加旅費が計画よりも少額で済み、次年度使用額が生じた。また、既存のデータを活用することにより、今年度の現地調査旅費が計画よりも少額で済んだほか、現地調査にともなう消耗品の購入経費が少額で済んだ。 (使用計画) 森林管理者がシカ捕獲を実際に行う箇所において、地域の関係機関とともに現地調査を行い、日本型シカ管理体制の検討に活用する。
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Research Products
(6 results)