2017 Fiscal Year Research-status Report
サクラの栽培品種の花形質を支配する遺伝子・ゲノム領域の探索
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16K07797
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
加藤 珠理 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (90467217)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | サクラ / ソメイヨシノ / DNA / RAD-Seq / 形質 / 遺伝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、サクラの栽培品種における多様な花形質がどのような遺伝子・ゲノム領域によって制御されているのかについて明らかにすることを目的としている。そのためには、サクラのゲノム全体から多数のDNA多型情報を効率的に解析する必要があるので、ゲノム解析手法の一つであるRAD-Seq法により、詳細なDNA分析を進めている。 ソメイヨシノ系の栽培品種(25品種)と、その親種として関与しているエドヒガン(30個体)、オオシマザクラ(32個体)、ヤマザクラ36個体について、PstI-MseIの制限酵素組合せでRAD-Seq解析を行った。作成したRAD-Seq解析用ライブラリーはMiSeqシーケンサーを用いて、300bpのペアエンドで解読して、1サンプル当たり約20万リードペアを取得した。取得したシーケンスデータはモモの全ゲノム配列にマッピングすることで、最終的に4129座の多型サイトを検出した。更に、サイト間の距離が1kbp以上離れており、major alleleの出現頻度が0.9以下で、欠損データが少ない401座の多型データを厳選して、STRUCTURE解析とNewHybrids解析を行ったところ、‘染井吉野’のゲノムは、ヤマザクラの関与がわずかながら認められることと、オオシマザクラ(あるいは、ヤマザクラの影響がみられるオオシマザクラ)とエドヒガンの雑種第一代に相当することが確認できた。その他の、ソメイヨシノ系の栽培品種については、おおよそ来歴と矛盾しない結果が得られた。また、サクラの形質情報については、約200品種について、花色・花形、花の大きさ、開花期など、花の情報だけでなく、樹形、樹高についても図鑑等から情報を取得して整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RAD-Seq解析により十分な多型データが得られることを確認できたが、解析サンプルが一部の栽培品種・野生種に限られているため、解析サンプルを増やす必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、RAD-Seq解析を行わなかったサクラの栽培品種、野生種についても解析を行い、DNA多型データを取得する。また、花の形質情報から得たデータとゲノム配列の多型サイトのデータを用いて関連解析を行い、花形質の制御に関係のありそうな遺伝子・ゲノム領域を探索する。
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Causes of Carryover |
DNAの調整等の実験を慎重に進めたことで、一部の栽培品種・野生種の解析しか進められなかった。次年度は解析予定である他のサクラサンプルについても、DNA分析を行う必要があり、そのための予算として使用する。
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Research Products
(1 results)