2018 Fiscal Year Research-status Report
サクラの栽培品種の花形質を支配する遺伝子・ゲノム領域の探索
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16K07797
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
加藤 珠理 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (90467217)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | サクラ / cpDNA / SSR / 遺伝マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
RAD-Seq解析を予定していたサンプルについて、解析用のDNAライブラリーの調整を試みたところ、DNAが分解しているものや多糖類などの不純物を含むものが多数あり、一部のサンプルについてデータを取得することができなかった。このため、研究期間を延長して、現在、再分析を進めている。また、サクラの栽培品種の起源推定に対する異なるアプローチとして、母性遺伝する葉緑体DNAの多型分析を行うためのマーカーの開発を試みた。サクラ属の葉緑体DNAの配列情報に基づき、単純反復配列(cpSSR)における多型を検出するための5つのマーカーを設計した。設計した5つのcpSSRマーカーは、サクラ属の野生種(13分類群:ヤマザクラ、オオシマザクラ、カスミザクラ、オオヤマザクラ、マメザクラ、キンキマメザクラ、チョウジザクラ、オクチョウジザクラ、タカネザクラ、エドヒガン、ミヤマザクラ、カンヒザクラ、シナミザクラ、各群13~37個体、計311個体)において、異種間増幅の可否を調べ、その有効性を確認した。その結果、19個のハプロタイプが検出され、各分類群におけるハプロタイプ数は1~8、ハプロタイプリッチネスは1~6.613、ハプロタイプ多様度は0~0.758であった。また、種全体の多様度HTは0.831、種内の平均多様度HSは0.559であり、種間の分化係数GSTは0.327であった。これらの5つのcpSSRマーカーは多型性がとても高いので、サクラの栽培品種の起源推定だけでなく、サクラ属の個体群構造や遺伝的多様性の評価、系統地理学の研究にも役立つものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
RAD-Seq解析を予定していたサクラのサンプルについて、解析用のDNAライブラリーの調整を試みたところ、DNAが分解しているものや多糖類などの不純物を含むものが多数あり、このまま実験を進めるには支障があることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
DNA解析を行えなかったサクラのサンプルは、形質を解析するという観点からは重要な栽培品種・野生種を多数含んでいるので、良質なDNAを用いて解析を行い、質の高いデータを取得したいと考えている。そのためには、開葉初期の葉を採取しなおして、速やかにDNAを再抽出し、その上で、RAD-Seq解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究の最終年度である平成30年度に、DNA解析を予定していたサクラの栽培品種(予定した200品種のうち、主にサトザクラ系の50品種)、野生種(予定した7種のうち、主にカスミザクラ、オオヤマザクラの2種)について、RAD-Seq解析用のDNAライブラリーの調整を試みたところ、多糖類などの不純物を含むものが多数あり、このまま実験を進めるには支障があることが明らかになった。DNA解析を行えなかったサンプルは形質を解析するという観点からは重要な栽培品種・野生種を多数含んでいるので、良質なDNAを再抽出して解析を行い、質の高いデータを取得したいと考えている。次年度使用額はそのための予算として使用する。
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Research Products
(1 results)