2018 Fiscal Year Annual Research Report
Characterization of reed used for traditional court music and development of substitute by the cultivation of reed
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16K07803
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小幡谷 英一 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (10312810)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 葦 / 雅楽 / 篳篥 / 蘆舌 / 振動特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.奏者によって選別された葦材の物性解明 鵜殿地区で蘆舌用に採取された葦材の279節間から、寸法に基づいて62節間を選別し、その寸法および密度を測定した。さらに、伝統的な蘆舌の作製方法に倣い、加熱圧縮による「平板加工」を行い、円管状の葦材を平板に加工した。平板加工された葦材を用いて、振動特性(動的ヤング率、損失正接)の測定を行った。その結果、1)奏者によって選別された葦材の諸物性が、選別されなかった葦材のそれらと大差ないこと、2)奏者が、主として寸法(外径、内径)に基づいて葦材を選んでいること、が明らかとなった。蘆舌用の葦材を探索、選別する際には、寸法が重要である。一方、蘆舌用葦材の振動特性を、厚壁繊維と柔細胞マトリックスからなる2相力学モデルで近似し、それぞれの密度およびヤング率を推定したところ、蘆舌用葦材の力学特性が、西洋の木管楽器リードに用いられる葦(Arundo donax)と質的に異なることが明らかとなった。したがって、西洋の葦は、篳篥用葦材の代替材にはならない。 2.葦材の人工栽培と栽培材の評価(前年度からの継続) 鵜殿地区で採取された種子を管理された圃場に播種し、人工栽培を行った。栽培年数と共に地下茎が成長し、地上部の丈、節間の寸法が増加することが確認された。2017年産の葦材の中には、蘆舌に使用可能な寸法の葦が4%含まれており、今後栽培を継続することによって、1~2年内には蘆舌に使える葦材が多数採取できると予測された。
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