2017 Fiscal Year Research-status Report
セルロースを用いた高イオン伝導性アニオン交換膜の開発
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16K07816
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Research Institution | Aomori Prefectural Industrial Technology Research Center |
Principal Investigator |
葛西 裕 地方独立行政法人青森県産業技術センター, 工業部門, 研究管理員 (50523502)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高分子電解質 / イオン伝導 / 燃料電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
セルロースは自然界に最も多量に存在する天然高分子であり、人体に無害で生分解性であるという特徴を有している。この再生可能資源であるセルロースを燃料電池用電解質膜のような機能性材料として利用することは環境面でのメリットがあると考えられる。平成29年度はセルロースから四級アンモニウム化セルロースを合成し、成膜後に架橋反応を行うことでアニオン交換基を有する電解質膜を作製し、その特性を評価した。得られた主な成果を以下に示す。 (1)セルロースに対し四級アンモニウム化を行った後に成膜し、架橋反応を行うことにより架橋四級アンモニウム化セルロース電解質膜(CL-QAC)を作製することができた。四級アンモニウム基の置換度を赤外分光法や元素分析により評価した。 (2)熱重量分析の結果、塩化物型のCL-QACは約260℃から四級アンモニウム基の分解が始まるのに対して、水酸化物型のCL-QACは約120℃から分解が始まることがわかった。 (3)架橋反応が進行するにつれCL-QACの含水率とイオン交換容量(IEC)が低下した。また、IECが高く、アニオン交換基あたりの水分子の数が多いCL-QACほどイオン伝導度が高かった。 (4)CL-QACのIECは一般的なカチオン交換膜であるNafion NRE-212より高いにもかかわらず、イオン伝導度はNafion NRE-212と比べ1桁低かった。これは水酸化物イオンの移動度がプロトンよりも低いことや、電解質膜中に効率的なイオン伝導パスが形成されていないためであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セルロースからアニオン交換膜を作製し、イオン伝導性を中心に物性評価を行ったことから、おおむね順調に推移していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
アニオン化条件・製膜条件と膜物性との関係をより詳細に検討する。さらに、実用的な膜物性を保ちつつ高イオン伝導性を示す膜を得るためセルロースナノファイバーとの複合化方法の検討を行い、膜の構造とイオン伝導性との関係を調べる。
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Causes of Carryover |
(理由) 次年度使用額が生じた理由は、海外での国際学会での発表予定を変更し国内学会で発表を行ったことにより、旅費の使用額が少なくなったことなどのためである。 (使用計画) 実験用試薬や消耗品類、学会発表のための旅費として使用する。
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Research Products
(1 results)