2017 Fiscal Year Research-status Report
オホーツク沿岸能取湖における海氷生成と海洋環境動態による低次生産層の応答解析
Project/Area Number |
16K07829
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
西野 康人 東京農業大学, 生物産業学部, 教授 (50424677)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 至純 東京農業大学, 生物産業学部, 教授 (70399111)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 海氷 / 基礎生産 / アイスアルジー / 植物プランクトン / 微小動物プランクトン / 動物プランクトン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度では、平成28年度に実施した海氷ならびに海水中の生物相の動態および短周期での環境変動の調査を実施した。非結氷期は昨年度と同様に調査艇による観測定点における調査を4月から12月に実施した。一方、2月3月の結氷期は、海氷の結氷が遅れ、湖央部の観測定点の海氷の厚さが薄く調査の危険があったため、調査地点を調査が可能な氷厚が認められた沿岸部に変更した。 調査内容は、CTDによる水温・塩分等の鉛直プロファイルの測定、採水によるサイズ別クロロフィルa濃度と栄養塩濃度の測定、ならびに植物プランクトン・微小動物プランクトン用検鏡資料(ホルマリン固定、ルゴール固定)の採集をおこなった。また、光量子計による光環境の鉛直プロファイルを測定した。結氷期の氷上調査は、2月9日から3月22日にかけて行い、この間、4回の調査を実施した。氷上調査では、昨年度と同様に海氷・海水サンプル(サイズ別クロロフィルa濃度測定用、栄養塩濃度測定用、検鏡用)の採集、ネット採集(目合い:330 μm、100 μm)、CTD観測(水温・塩分・蛍光値等の鉛直プロファイル)ならびに光量子計による光環境の鉛直プロファイルを測定した。さらに今年度の主要課題である、結氷期の一次生産力の測定法の検討を実施した。海氷下の水柱の一次生産力の測定は、ポリカーボネートのタンクにメモリー式の溶存酸素計をいれ、水深ごとに設置することで測定できることが明らかとなった。海氷中の一次生産力は、透明のアクリルパイプを用いた測定装置の作成をおこない、そのデータの検証を進めている。なお、船上調査、氷上調査で得られたサンプルの処理・分析は現在、進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度に実施を予定していた調査のうち、非結氷期のプランクトン相と環境動態の把握はほぼ予定通りに実施できた。一方、結氷期については、結氷時期が遅れ、観測定点における海氷厚が薄かったため調査地点を沿岸部に変更した。沿岸域のデータも得られたという点で、比較対象が増えたといえる。H29年度の主要課題の結氷期の一次生産力の測定については、水柱中のデータ取得の目処はついたが、海氷中の一次生産力の測定については、装置の開発は行い、測定方法の方向性はみえてきたが、多少の改良が必要であるため、この点に関しては多少の遅れと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、非結氷期の調査はこれまでと同様に実施していき、非結氷期の水柱の一次生産力の推定も実施していく。結氷期については、これまでと同様の調査を実施するとともに、海氷下の水柱の一次生産力の測定を実施するとともに、海氷中の一次生産力の測定手法を確立し、一次生産力の測定を実施する。また、船上調査が実施できる非結氷期と氷上調査が実施できる結氷期の間、すなわち、結氷初期と海氷融解期の調査について、海水交換の行われる湖口付近を中心に実施を試みる。
|
Causes of Carryover |
投稿論文の英文校閲、投稿料として計上していたが、結氷時期の遅れにともない、データ取得が遅れたため、H29年度内での投稿が間に合わなかった。現時点では、データは取得できているので、H30年度中には論文としてまとめ、投稿予定である。
|
Research Products
(8 results)