2018 Fiscal Year Annual Research Report
Disturbances of plankton and benthic ecosystems in the coastal area of the Japan Sea with the coastal jets
Project/Area Number |
16K07831
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
児玉 武稔 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 日本海区水産研究所, 研究員 (20735899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和川 拓 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 日本海区水産研究所, 任期付研究員 (10601916)
井桁 庸介 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 日本海区水産研究所, グループ長 (50444138)
木暮 陽一 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 日本海区水産研究所, グループ長 (90371905)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 日本海 / 対馬暖流 / 富山湾 / 動物プランクトン / ベントス |
Outline of Annual Research Achievements |
対象としている海洋物理,プランクトン,堆積物・ベントス群集について,主に大陸棚の断絶が認められ,台風のような強風イベントによって物理的な擾乱が生じることが明らかになった富山湾での動態に着目し研究を進めた.まず,春季の動物プランクトン群集については富山湾で毎年冷水種が卓越する現象が生じており,それには対馬暖流沿岸分枝の流入の有無が重要な役割を果たしている可能性が示唆された.本結果はOcean Scienceに受理・掲載され,また,2018年6月のカナダ・ビクトリアで開催されたASLO(Association for the Sciences of Limnology and Oceanography)Meetingsにおいても発表した.また,夏季から秋季にかけて生じる対馬暖流沿岸分枝の流路遷移,すなわち,それまで富山湾に入ってきていた沿岸分枝が能登半島北部から佐渡沖に流れるようになる現象,について,毎年生じる現象である可能性がCTDデータからも示され,この海域で物質の下向きのフラックスを強化する高気圧性渦が夏季に出現することが明らかになった.また,強風イベントによって海洋表層に伝わったエネルギーが波として沿岸分枝内を伝播し,富山湾の複雑な地形の影響で,乱流混合の強化につながる可能性が示された.富山湾沖合のベントス・堆積物は,同じ水深帯の他の日本海内の採集点よりも,より粒度の小さい堆積物が多くなっており,さらに,その底質環境と対応するようにメイオベントス内で線虫割合が高くなっていることが明らかになった.これらのことを総合して考えると,富山湾の渓谷構造によって,流動場の擾乱が生じやすくなっており,そのことが日本海沿岸域のプランクトンおよびベントス相の不均質性に大きな役割を果たしていることが明らかになった.
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Research Products
(17 results)