2016 Fiscal Year Research-status Report
低塩分飼育による真珠の「キズ・シミ」軽減メカニズムの解明
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16K07842
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
佐野 菜採 三重大学, 生物資源学研究科, 学術研究員 (50636545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古丸 明 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (10293804)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 凝集素 |
Outline of Annual Research Achievements |
・低塩分養生時のアコヤガイ血リンパ中の凝集活性 飼育塩濃度は通常海水塩分と同じ33,低塩分25,17の3区を設け,挿核手術後に0,4,8日後に採血し,血リンパを得る。ヒツジ赤血球と段階希釈したアコヤガイ血リンパを反応させ,凝集力価を測定した。その結果,予備実験と同様の結果が得られた。また,養生時の塩分条件とその後飼育して得られた真珠の品質との関係も検討した。その結果をまとめ国際誌(Aquaculture Resarch)に投稿し,受理された。
・凝集価として測定されるレクチンの種類の特定および濃縮精製方法の検討 赤血球凝集反応を起こしているタンパク質の分離と同定を試みた。凝集力価は試みた多数の単糖では阻害されず,ムチンでのみ阻害された。そこで,ムチンを固定化したゲルを用いて凝集素を分離した。分離された赤血球凝集素のSDS-PAGEを行いった結果,分子量は約250kDaであり, そのバンドの質量解析を行った結果,アコヤガイゲノムアセンブリ(ver. 2.0)[3]のpfu_aug2.0_279.1_30551.t1に同定され, fibronectin3, kringle domainおよびlipocalinの構造を持っていた。赤血球凝集活性はGlc,Gal,Man,Fuc,Lac,GalNacでは阻害されず,ムチンでのみ阻害された。さらにそのタンパクに特異的なプライマーを設計し,RT-PCRを行ったところ,赤血球凝集素は生殖巣,中腸腺,鰓,閉殻筋,血球で発現していた。これらの結果を28年度日本比較免疫学会および12th Japan-Korea, Korea-Japan symposium on Aquacultureで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低塩分養生と凝集力価の関係を明らかにし,凝集素の精製同定を行えたことは計画通りである。また,その成果を国内学会発表および日本で開催された国際シンポジュウムに発表できたことは予想以上の速さである。 しかしながら,28年度に取り掛かる予定であったRNAiに関する実験には取り掛かれなかった。RNAiに関しては,血リンパ中の凝集活性を担う凝集素を特定してからがより効率的と考えられたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度に分離した凝集素あるいは既存のレクチンのうち主に低塩分養生時に抑制されているものをウエスタンブロット等のタンパクレベルの実験と定量PCRを用いたRNAレベルの実験により同定する。この凝集素のアコヤガイ血球への影響をフローサイトメータを用いた解析等で検討する。 同時に,特定した凝集素のRNAi混合物の政策を試みる。
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Causes of Carryover |
RNAi混合物作成を試みなかったため試薬を購入しなかったから。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
凝集力価を担う凝集素が特定されたのちに,RNAi実験を行う予定であり,RNAi混合物作成の試薬を購入する。
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Research Products
(3 results)