2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K07844
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松下 吉樹 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (30372072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅 向志郎 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 准教授 (60569185)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ケンサキイカ / 餌生物 / 共喰い / 高次生物 / DNA分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年8月および9月の男女群島沖合および対馬海峡海域の種々の水深帯において,日中の底びき網と集魚灯を用いた夜間のイカ釣りによって183個体のケンサキイカを採集した。 イカ釣りでは水深10~110mの水深帯で,底びき網では水深150~200mの海底上でケンサキイカを漁獲した。これらのうちの約40%の個体には胃内容物が認められた。この空胃率は,水深には関係なかった。43個体のケンサキイカの胃内容物をEDTAで保存して研究室に持ち帰り,目視観察を行ったが生物種は特定できなかった。 胃内容物のmtDNAを精製してBLAST解析によって種特定を試みた結果,同種を捕食した,いわゆる共喰いはイカ釣りで漁獲した個体で多く,胃内容物が確認できた個体の約1/4を占めた。カタクチイワシやウルメイワシを捕食した個体も多く(7個体),こうした個体は広い水深範囲で確認された。一方,高次栄養段階の生物と考えられるブリを捕食したと推定された3個体は水深40~50mの浅い水深帯のみで採集された。これは海面近くに分布するブリ幼魚を捕食したことを示唆している。一方,底びき網により海底近くで採集したケンサキイカも共喰いやカタクチイワシの捕食が確認されたが,もっとも多い餌生物は深層に生息するニギスであった。 現時点ではケンサキイカは分布水深に多く生息する生物を捕食した傾向が伺える。イカ釣りにおける共喰いの多さは,集魚灯によって同種の分布密度が高められた結果かもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2016年度は研究科の副科長の任にあり,東シナ海から日本海西部の定置網で漁獲されるケンサキイカのサンプル採集を予定していたが,他の業務のために実施できなかった。H29年度に可能な限り実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き異なる場所,時期,漁業,時間帯に漁獲されるケンサキイカの胃内容物の収集に努める。そして今年度は従来の種同定方法に加えて,ELISAによるソマトスタチン測定やアポトーシス関連物質の測定あるいは生死細胞比の測定から,ケンサキイカの摂餌した後の経過時間,すなわちケンサキイカの摂餌時刻の推定を試みる。
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Research Products
(3 results)