2016 Fiscal Year Research-status Report
ビッグデータによる統計的機械学習を利用した南九州の漁業予測・赤潮予測モデルの開発
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16K07847
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
庄野 宏 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (30344328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大富 潤 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 教授 (10253915)
増田 育司 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 教授 (70107861) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スパースモデリング / Elastic Net / 赤潮 / 機械学習 / 高次元母数推定 / ビッグデータ / キビナゴ / CPUE |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、短期スパンの気象データ等を長期間に渡り蓄積したビッグデータ、標本数よりもパラメータ数が多い高次元母数データなどに斬新な機械学習理論や統計モデル、データマイニング手法を利用して、八代海における赤潮発生の有無および規模の予測、鹿児島周辺海域におけるクロマグロ幼魚の来遊量予測、鹿児島近海におけるキビナゴの資源量予測を行い、これらの問題に関する統計手法や数理モデルの開発および改良を目的とする。 2016年度は、主にスパースモデリングと呼ばれる、標本数よりも未知パラメータ数が多い場合にも適用可能な統計的機械学習手法を利用して、八代海におけるシャトネラ・アンティーカと呼ばれる赤潮の発生予測を行った。 具体的には、Elastic Netと呼ばれる罰則付きの線形モデルを応用して2014年夏季(7-9月)、2015年夏季および2016年夏季の赤潮発生規模の予測を行ったところ、2014年および2015年はほぼ的中し、2016年も実際の被害を示す指標に近い予測値が得られた。 要因分析の結果、梅雨入り日(5月1日を起点とする経過日数)や八代および水俣における春季の気温、両地点における風速や風向などの与える影響が大きいことが確認された。 これらの結果の一部は平成29年度春季水産学会大会のミニシンポジウムで講演し、現在投稿準備中である。 キビナゴの資源量予測モデル開発の第一歩として、鹿児島近海におけるキビナゴの漁法別の漁獲量・努力量データを利用してCPUEの解析を行い、得られた指数を利用してプロダクションモデルによりキビナゴ資源の絶対量推定を行ったところ、現状の資源量が7,700トン前後と推定された。MSY(最大持続生産量)の推定値は約3,000トンであり、近年の漁獲量は1,000~2,000トン程度であることから、今後漁獲を増やしても資源への影響が少ないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
気象データに基づく赤潮の発生予測において、実際にブリ養殖業への被害がみられた2016年度は、出力変数として過去に利用してきた被害の程度を示す指標が入手出来なかった。 そのため、公表されている代替指標としてブリ養殖業への被害金額や赤潮発生から終息までの日数などを利用したが、モデル作成を最初から行う必要があり、多大な時間を費やすことになった。 加えて、出力変数の形式ゆえに気象データに基づくオンライン学習モデルの実装を当面保留したため、当初の予定よりもやや遅れてしまい、水質測定データに基づく予測モデル作成を先延ばしにせざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
八代海の赤潮予測については、適切な出力変数の探索を行いながら短期スパンの気象データに基づくオンライン学習モデル作成を試行したい。加えて、気象データと水質測定データの両方を使用するハイブリッドモデルの実装も行う予定である。 キビナゴの資源評価については、水揚げ金額等の経済的な要因を組み込んだ標準化CPUE(catch per unit effort)に基づく鹿児島近海におけるキビナゴ資源の絶対量推定を行い、資源量の将来予測モデルを開発したい。 鹿児島周辺海域におけるクロマグロ幼魚の来遊量予測では、サポートベクター回帰等の機械学習手法に基づく要因分析法の提案を行い、回遊経路の解明にも取り組んでいきたい。
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Causes of Carryover |
学内異動により所属部署および教員室が移転する可能性があったため、異動時期なども含めて詳細が決定するまで高性能デスクトップPCなや高額なソフトウェアの購入を控えていた、という事情がございます。 (2017年4月1日に鹿児島大学水産学部から鹿児島大学総合教育機構共通教育センターに異動しました) また、当初予定していた外国出張を取りやめたため、上記と合わせて結果的に100万円を越える差額が生じました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度に購入を予定していた高性能デスクトップPC(約450,000円)およびデータマイニングツール(500,000円弱)の2017年度または2018年度の導入を予定しております。 その他の使用計画については、ほぼ申請時の通りで、大きな変更点はございません。
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Research Products
(8 results)