2018 Fiscal Year Research-status Report
タイプIII分泌機構に着眼した魚類エドワジエラ症原因細菌の病原機構の解明
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16K07849
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Research Institution | Kagawa Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
奥田 潤 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (90334276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 敏博 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (60164117) [Withdrawn]
末澤 千草 香川県立保健医療大学, 保健医療学部, 講師 (90331868)
河東 康彦 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 増養殖研究所, 研究員 (90634220)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Edwardsiella tarda / タイプⅢ分泌機構 / 病原性発現機構 / Yeast two-hybrid法 / GSTプルダウンアッセイ法 / ヒラメ感染実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、E. tardaのマクロファージ内での増殖性、上皮細胞への侵入性、ゼブラフィシュへの病原性に関連しているタイプIII分泌装置遺伝子クラスター内の5つの機能未知遺伝子(escC, orf13, orf19, orf29, orf30遺伝子)に着目し、宿主細胞内で結合する宿主因子を同定することにより、未知の病原性発現機構を明らかにすることである。 研究を既に進めていた機能未知遺伝子orf29とorf30遺伝子が、海外のグループからの報告により1つの遺伝子(eseJ遺伝子)であること、さらにeseJが本菌の感染に重要なタイプIIIエフェクターであることが報告されたことから、報告された新たな遺伝情報に基づいてeseJ遺伝子に着目し、実験のやり直しを行った。eseJ遺伝子と結合する宿主因子を、タンパク質-タンパク質間の相互作用を検出できるYeast two-hybrid法を用いてスクリーニングする予定であったが、Yeast two-hybrid法によるスクリーニングは完了までに長い時間を要することから、比較的短期間にタンパク質-タンパク質間の相互作用を直接的に検出できるGSTプルダウンアッセイ法に変更した。今年度はGSTプルダウンアッセイ法を行うために、eseJ遺伝子をpGEX6P-1プラスミドにクローニングし、IPTG誘導することによりGST-EseJタンパク質が大腸菌内で適切に発現されることを確認した。 次に、研究分担者である河東氏が2018年4月中旬から2019年3月中旬までオーストラリアへ留学して不在であったことから、海産魚を用いた感染実験の遂行は中断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
5つの機能未知遺伝子破壊変異株を用いた海産魚に対する感染実験とマクロファージ内での増殖性の検討結果については、比較的順調に進んでいるが、再現性などの実験遂行は中断している状態である。 次に、研究を既に進めていた機能未知遺伝子orf29とorf30遺伝子が、海外のグループからの報告により1つの遺伝子(eseJ遺伝子)であること、さらにeseJが本菌の感染に重要なタイプIIIエフェクターであることが報告されたことから、研究計画を大きく修正し、EseJと相互作用する宿主因子の探索をGSTプルダウンアッセイで行うことに変更した。クローニングは完了したが、これからGSTプルダウンアッセイを行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
5つの機能未知遺伝子破壊変異株を用いた海産魚に対する感染実験とマクロファージ内での増殖性の結果の確証実験については、研究分担者である河東氏が2019年3月末から職場に復帰していることから、再開する予定である。 次に、EseJと相互作用する宿主因子の探索については、GST-EseJ融合タンパク質を精製後、宿主細胞溶解液を加えることで、GSTプルダウンアッセイを行い、EseJと結合する新規の結合宿主因子の探索を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究を既に進めていた機能未知遺伝子orf29とorf30遺伝子が、海外のグループからの報告により1つの遺伝子(eseJ遺伝子)であること、さらにeseJが本菌の感染に重要なタイプIIIエフェクターであることが報告されたことから、研究計画を大きく修正し、EseJと相互作用する宿主因子の探索を当初から予定していたYeast two-hybrid アッセイではなく、GSTプルダウンアッセイで行うことに変更した。そのために物品費や旅費に余剰金が生じた。 次年度はプルダウンアッセイによる、比較的費用がかかる宿主因子の探索実験が予定されていることから、余剰金は主に物品費に使用する予定である。また、良いデータが得られれば、学会発表や論文作成なども積極的に行いたい。
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