2017 Fiscal Year Research-status Report
ホンダワラ属の海藻におけるD-アスパラギン酸の役割および起源
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16K07852
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
横山 雄彦 北里大学, 海洋生命科学部, 講師 (60296431)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 海藻 |
Outline of Annual Research Achievements |
海藻におけるD-アスパラギン酸(D-Asp)は、今のところホンダワラ科に属する海藻に限られている。ただし、ホンダワラ科に属していてもテレティア節に属する海藻にはD-Aspが存在しないと示唆される結果も得ている。 テレティア節を除くホンダワラ科に属する海藻にD-Aspが存在しているものの、海藻のD-Asp合成酵素は未解明である。D-Aspを合成する可能性のある酵素としては、Aspラセマーゼ[EC 5.1.1.13]、アスパラギナーゼ[EC 3.5.1.1]、D-アミノ酸トランスアミナーゼ[EC 2.6.1.21]、Aspアンモニアリアーゼ[EC 4.3.1.1]、N-アシル-D-Aspデアシラーゼ[EC 3.5.1.83]があげられる。これらの酵素を標的としヒジキの粗酵素液と、基質としてそれぞれL-Asp、D-アスパラギン(Asn)またはL-Asn、D-グルタミン酸+オキサロ酢酸、フマル酸、N-アセチル-D,L-Aspを用いて酵素反応させてD-Aspの生成を調べた。 アカガイなどの動物では、D-Asp合成酵素としてアスパラギン酸ラセマーゼの存在が知られており、実際にアスパラギン酸ラセマーゼによりD-Aspが生成されている。しかし、ホンダワラ科の海藻であるヒジキでは、唯一D-Asnを基質としたときにD-Aspの生成が認められたため、アスパラギナーゼで生成されている可能性が示唆された。アスパラギン酸ラセマーゼをはじめとする他の酵素による生成は認められなかった。ただし、基質であるD-Asnがヒジキから確認されないのでアスパラギナーゼによる生成かどうかは慎重に判断する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海藻におけるD-Asp合成酵素は未解明である。ホンダワラ科に属する海藻であるヒジキにおけるD-Asp合成酵素を探索し、海藻では未解明であるD-Asp合成酵素活性を認めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
海藻では未解明であるD-Asp合成酵素活性を認めることができたが、その基質であるD-Asnがヒジキには認められていない。ヒジキアスパラギナーゼの再現性を確認したい。
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Research Products
(2 results)