2019 Fiscal Year Research-status Report
30年間の接岸量調査と初期生活史解析に基づくニホンウナギ接岸回遊機構の解明
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16K07853
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
篠田 章 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70401297)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ニホンウナギ / シラスウナギ / 接岸量 / 接岸回遊 |
Outline of Annual Research Achievements |
鹿児島県種子島の伊原川河口において,2019年5月から2020年3月までの期間にシラスウナギ来遊調査を行った。これらのサンプルはこれから解析に供する。 1991年から2018年にかけて伊原川河口に接岸したシラスウナギの採集データ480回分から接岸量を解析した。27年間の調査で採集されたシラウウナギの総数は57,757個体で,月ごとの採集個体数は0 - 4,152と大きな差が見られた。接岸時期や単位努力量当たり漁獲量(CPUE)をエルニーニョとラニーニャ現象の発生年および通常年で比較したところ,明瞭な関係は認められなかった。 1992年から2018年の1月に採集したシラスウナギ各30個体について,全長,背鰭前長,肛門前長,色素発達段階を測定した。測定した793個体は,外部形態により,ニホンウナギ780個体,オオウナギ10個体,Anguilla bicolor pacifica 2個体,その他1個体と査定された。以下の解析はニホンウナギのみを対象にした。色素の発達段階は5Aから6A4まで出現したが,5Bの個体が全体の6割を占めていた。全長は57.5 ± 2.5 mm(平均値 ± 標準偏差; 範囲, 50.4 - 65.3; n = 779)であった。全長を年級群間で比較すると有意な差が認められ,1990年代と2010年代で比較すると約5 %の縮小率となった。ニホンウナギの世代時間に相当する5年から 10年ごとの比較で特に変化が顕著であったことから,世代を経るごとに種子島に接岸したシラスウナギが小型化した可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大のため,サンプルの受け取りや実験の遂行などに支障があり,計画よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
接岸量調査,生物学的特性の結果が得られたので,初期生活史推定,海洋環境との対応を検討し,接岸回遊機構を明らかにする。
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Causes of Carryover |
2月から3月に予定していた種子島の現地視察を新型コロナウィルス感染拡大により見送ったため,次年度繰越金が生じた。繰り越し分は,研究打合せや現地調査などの旅費と消耗品費に充てる。
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Research Products
(1 results)
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[Book] ウナギの科学2019
Author(s)
塚本 勝巳、篠田 章 他
Total Pages
240
Publisher
朝倉書店
ISBN
978-4-254-48502-8