2017 Fiscal Year Research-status Report
沿岸性鯨類スナメリの生息地利用の解明-育児海域の推定
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16K07854
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
白木原 美紀 東邦大学, 理学部, 訪問研究員 (30449251)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スナメリ / 個体群 / 育児海域 / 飛行機目視調査 / 沿岸性鯨類 / 保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
水深50m以浅の沿岸域に生息する小型鯨類スナメリの鹿島灘・九十九里浜沖個体群の育児海域を推定することを目的として,2017年4月から9月にかけて飛行機目視調査と陸上からの行動観察を実施した.前年度の結果を受けて,今年度の調査はスナメリの出産期と考えられる春から夏に調査を集中した. 飛行機調査は4月から6月にかけて月に1回実施した.総飛行距離は1200kmで172群272頭のスナメリを発見し,そのうち出生直後と考えられるコドモは15頭で,母親と考えられる個体と同伴していた.前年度の調査では,親子は水深15m以下,岸から3km以内の海域で発見されたため,これに相当する水深20m以浅の海域を集中的に調査したが,予想外に親子の発見は少なかった.月別にコドモの割合を算出すると,4月から6月にかけて5%から6%と増加傾向にあったため,6月以降の調査に期待していたが,飛行機会社の予期せぬトラブルにより,その後の調査を実施できなかった.親子の発見場所は,前年度調査とほぼ同じ海域に限られていた.既往知見から親子の出現が期待された銚子周辺海域より南側の九十九里浜付近では,親子だけではなくスナメリの発見が少なかった. 陸上観察は千葉県銚子漁港内を対象海域として実施した.調査を行ったすべての日で発見があった.5月調査では,体長が小さく体色の黒い新生児と考えられる個体を,前年度同様に確認できた.9月にも親子を発見したが,コドモは成長しており,新生児の特徴が見られなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査に使用する飛行機をチャーターしている航空会社が飛行機墜落事故のために飛行機の運航を一時停止する措置を受けた.他の会社の飛行機が離発着する飛行場は,調査コースから離れているため,飛行場と調査コース間の移動に時間と費用がかかる.このため,スナメリの出産期と考えられる春から夏にかけて計画していた飛行調査を次年度に延期することにした.
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Strategy for Future Research Activity |
スナメリの出産期と考えられる春から夏に集中的に飛行機調査を実施して育児海域を推定し,その海域特性を明らかにする.本研究課題で実施した陸上観察の結果は,過去の知見と矛盾することはなかったため,最終年度は飛行機調査に注力する.
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Causes of Carryover |
飛行機会社のトラブルで飛行機を使用できなかった.トラブルの発生した時期はまさにスナメリの出産期であり,飛行が可能となったのは出産期を外れた秋であった.そのため,平成30年度の春から夏にかけて調査を実施することとした.
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