2017 Fiscal Year Research-status Report
30年前に絶滅したマガキの地域個体群ナガガキの復活と利活用の検討
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16K07855
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
大越 健嗣 東邦大学, 理学部, 教授 (60201969)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ナガガキ / マガキ / 絶滅 / 貝殻 / 形態 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は以下の4項目について検討を行った。 (1)聞き取り調査ー前年度同様に北海道から東北地方にかけてナガガキ型のカキの生息状況や種苗の移植の有無について聞き取り調査を行った。前年度に加えてさらに1か所でナガガキ型の個体の目撃情報があり、以下の通り調査を行った。 (2)ナガガキ型のカキの生息調査及び採集―北海道の北部沿岸を広域に調査を行った。目撃情報のあった北海道のある場所(資源保護のために場所は記載しない)にも出かけ採集を試みたがナガガキ型の生貝を採集することはできなかった。しかし、殻高20cm以上の死殻を複数個体確認し持ち帰った。また、別の場所でも大型で全重量が500gを超える個体が低密度で生息する場所を発見し、生貝を持ち帰った。また、東北地方でも前年採集した場所と同じところで20cm以上の生貝を複数個体採集することができた。これらの生貝は遺伝子解析用に軟体部の一部を固定し、貝殻は計測後冷凍保存した。 (3)形態観察と標本比較―昨年度と同様に、個体の固着状況と貝殻の外部形態の観察を行った。昨年度は採集できなかった25cm以上の老齢と思われる個体も観察した。大型個体はリレー型ではなく単独で採集されたものがほとんどで、それらの付着基盤にはカキ殻以外に巻貝なども見られた。昨年度はリレー型の若齢個体、今年度は単独性の老齢個体について形態情報が得られた (4)生貝から閉殻筋の一部を取り出し、遺伝子解析の前処理を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた、聞き取り調査、現地調査と採集、貝殻の形態観察と遺伝子解析の前処理はすべて行うことができた。一方、同一場所で複数回の調査を行うことができず、採集個体数は予定を下回った。次年度もさらに採集を行い、観察及び解析個体を増やしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
北海道での調査を夏までの間に日数を増やして行うことで、生息状況の観察及び採集個体を増やしたい。
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Causes of Carryover |
(理由)北海道北部海域の調査が可能な時期が季節的に限られており、秋以降の調査ができなかったため。遺伝子解析がサンプルの前処理までで、まだ解析ができていないため。 (使用計画)北海道での調査を9月末までに実施し、サンプルの採集及び分析を行う。
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