2018 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム情報に基づくタイラギの遺伝子攪乱リスクの評価
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16K07859
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
關野 正志 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 中央水産研究所, グループ長 (90371799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 篤志 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 中央水産研究所, 主幹研究員 (30443352)
橋本 和正 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 西海区水産研究所, 主任研究員 (40372007)
佐々木 猛智 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (70313195)
山田 勝雅 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 特任助教 (80569195)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 交雑 / 遺伝子浸透 / 一塩基多型 / タイラギ / 二枚貝 / 集団ゲノム学 / 集団遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに採集した長崎県五島産タイラギの33個体、愛知県日間賀島の35個体、北海道函館の45個体および香川県221個体に加え、本年度採集した佐賀県の40個体について、制限酵素SbfIを使ったRADseq法により、SbfIサイトに隣接する塩基配列(リード)を取得した。得られたリードを無鱗型(ズベ)タイラギのレファレンスゲノム(Refゲノム)にマッピングした結果、得られたリード数は平均8,300,645/個体、カバレッジは平均1,008であり、十分なデータ量が得られた。ただし分析したサンプルの中にmtDNA L6タイプが混入しており(後述)、これらのサンプルについてはマッピングされたリード数が著しく少なかったため(Refゲノムとの違いが大きすぎて、マッピングできたリードが少ない)、以降の一塩基多型(SNP)解析ではL6個体は除外すべきと考えられた。マッピングされたリードを基に、現在コンピュータ解析によりSNP同定を行っているところである。 一方、上記サンプルについて、mtDNAのCOI領域の塩基配列解析を行った。その結果、函館産および日間賀島産の全個体はズベのハプロタイプ(L1タイプ)を持っていた。一方五島産および佐賀産では有鱗型(ケン)のハプロタイプ(L2タイプ)しか見られなかった。香川産(瀬戸内海)のサンプルではL1タイプを持つ個体が113、L2タイプが81、ズベでもケンでもないL6タイプを持つ個体が27認められた。このL6タイプを持つ個体は、いわゆるタイラギAtrina pectinata(ケン・ズベ)とは別種と考えられるが(mtDNA COI配列では、ケン・ズベとは約19%の違いがある。ケンとズベ間は8-9%程度)、 種の登録がされていない。L6タイプは日本では大分県蒲江でしか見つかっていなかったが、本調査により、瀬戸内海に広く分布していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全サンプルについて、次世代型シーケンサーによるデータ収集は終了したものの、サンプル数(核ゲノムの塩基配列データ量)が多いため、所有するワークステーションでの解析に時間を要している。また形態解析を担当する共同研究者が異動し、それに伴い契約職員の雇用に遅延が生じ、形態解析に遅れが生じている。このため研究期間を延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
形態解析については2019年12月を目処にデータを取り終える。核DNA(SNP)解析については、コンピュータによるSNP同定が終わり次第、集団遺伝統計解析を行う。
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Causes of Carryover |
次年度に再解析を行う可能性があるため、若干の額を残した。
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Research Products
(3 results)