2016 Fiscal Year Research-status Report
ホタテガイ外套膜組織に含まれる毒物質の同定と作用機構
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16K07865
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
長谷川 靖 室蘭工業大学, 工学研究科, 教授 (80261387)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 毒物質 / ホタテガイ |
Outline of Annual Research Achievements |
・ホタテガイ外套膜を含む餌をマウス、ラットに食餌させることによって食物摂取量の減少、さらには死に至ることを示してきた。毒性を示す最小容量を検討し、外套膜組織を0.05%含む餌を食餌させることで十分な毒性がみられることを明らかにした。また、0.01%外套膜組織を含む餌を食餌したマウスにおいても数か月後に毒性が現れたことから慢性毒性を示すことが示唆された。毒物質の蓄積について詳細な検討が必要であると考えられた。 ・外套膜組織以外の組織の毒性について検討し、えら、中腸線、卵巣においても同様に毒性を示すことを明らかにした。一方、貝柱においては毒性を認めなかった。 ・外套膜中のどのような成分が毒性を示すのかを明らかにするため、培養細胞およびマウスでの毒性評価系を用いて外套膜抽出液をイオン交換カラム、ゲルろ過カラムで分画した画分について評価をおこなった。現在までに、分子量1万以上のタンパク質成分が毒性を示していることを示唆するデータをえてきた。培養細胞系での毒性を示す分画がマウスで毒性を示す画分と一致していることから、今後培養細胞系を用いて毒物質の単離、同定ができるものと考えられた。 ・外套膜を摂取したラットでは血糖値の顕著な上昇が起こることを明らかにしてきた。その作用機構を調べるため、培養肝細胞を用いて研究を行ったところ、外套膜組織中に、インスリン抵抗性を引き起こす物質が含まれていることを見出した。この物質が毒性に寄与しているかどうかさらなる検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
・毒物質を同定するための評価系においてマウスを用いたin vivo評価系では多くの時間と労力が必要であった。しかし現在までの研究から、培養細胞系を用いた評価系を使用できることがわかってきた。このことから、毒物質の同定への道のりがかなり短縮されたと考えている。 ・毒物質の性状について当初の予想以上に明らかになってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
・培養細胞系を用いた評価系により毒物質の早期の単離と同定を行い、その物質についてマウスを用いたin vivo評価系での毒性の確認実験を行う。 ・作用機構を明らかにするため、外套膜を食餌したマウスの各臓器の組織学的な研究を実施する。さらに外套膜を食餌したマウスにおいて生じる血糖値の上昇機構と毒性の関係について明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究費の使用が遅れたことから当年度に実施する予定だった研究が次年度に先送りとなった。しかし研究成果は予想以上の結果を得ている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に実施できなかった研究を本年度に持ち越して実施する。その経費として使用する。
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