2018 Fiscal Year Annual Research Report
Identification and its action mechanism of a novel toxin from scallop mantle tissue
Project/Area Number |
16K07865
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
長谷川 靖 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (80261387)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ホタテガイ / 外套膜 / 新規貝毒 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホタテガイは北海道や青森などの主要水産物のひとつであり、貝柱だけではなく、ひもと呼ばれる外套膜組織も、刺身や燻製などとして広く食されている。日本においては、中腸腺に蓄積する麻痺性貝毒、下痢性貝毒が定期的に検査され、貝毒が規制値以下のホタテガイのみが市場に出荷されている。貝毒は、我々の健康に危害を与えるだけではなく、水産業、食品加工業にも大きなダメージを与えてきた。我々は、市販されているホタテガイ外套膜組織を含む餌をラットやマウスに食べさせることによって食物摂取量の減少、運動量の減少、食物摂取量の減少、血糖値の上昇などの症状が現れ、死亡すること、その原因がホタテガイ組織に含まれている未知の毒物質であることを初めて明らかにした (Hasegawa et al 2018)。麻痺性貝毒(ナトリウムチャンネル阻害物質)や下痢性貝毒(ホスファターゼ阻害物質)は摂取後すぐに下痢や痙攣などの症状が現れる急性毒性を示すのに対し、外套膜に含まれる毒物質は摂取し続けることで毒性が現れる亜急性毒性を示す。また、0.01%(餌に含まれる外套膜含量)という少量の外套膜組織(体重比で換算すると50kgのヒトで毎日約1gの摂取に相当)を含む餌でさえ数か月後にラットが死亡したことから、毒物質が体内に蓄積する可能性も否定できない。今後、ホタテガイに含まれる未知の毒物質がヒトに対して毒性を示すかどうか明らかにするため、まず外套膜組織に含まれる毒物質の同定と作用メカニズムの解明が急務である。
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