2018 Fiscal Year Annual Research Report
Hemolymph microbiome of Pacific oysters in response to environmental stresses and recovery after stresses.
Project/Area Number |
16K07866
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 計介 東北大学, 農学研究科, 准教授 (80240662)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マガキ / 血リンパ / マイクロバイオーム / 低酸素 / 低塩分 / 細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、低溶存酸素ストレス区、すなわち16℃・DO 8.2 mg/L、16℃・DO 1.9 mg/L、25℃・DO 7.1 mg/L、25℃・DO 2.1 mg/L区に加えて、低塩分ストレス区、すなわち25 psuおよび20 psu区を設けた。メタゲノム解析はマガキ血リンパ試料について行い、結果を操作的分類単位(OTU)解析に供した。 メタゲノム解析の結果から、低DOの区では細菌種の多様性が大きく減少していることが示された。これらのことから、マガキ血リンパの細菌叢に対する影響は、水温のみでは定常状態を損なうほどではないが、低DOが加わることにより著しい変化を示すことが明らかとなった。また、低塩分ストレス区では細菌叢が著しく変化した。OTUは有意に減少したことから、ストレスによって特定の細菌群が優占したと考えられた。低溶存酸素ストレス区で認められた試験期間中の死亡などは、低塩分ストレス区では見られなかった。そのため、現時点ではこれらの細菌群がどこまでマガキに悪影響を与えるかは明らかではない。しかし、一般に細菌叢の多様性が損なわれると、健康被害が高まることが知られているので、長期間の低塩分曝露は注意を要することが示唆された。昨年度までの結果で示唆されたこと、すなわち複数のストレス負荷により、細菌叢は深刻な損傷を受け、元の通常範囲内の細菌叢へ戻ることが不可能になったことで、細菌叢および宿主であるマガキに悪影響を与え、結果的に多くの死亡個体が現れたことに対して、上で示した本年度に実施した単一ストレス区の結果を考え合わせると、単一の環境ストレスのみでも、ストレスの負荷により細菌叢に変化が生じ、その条件に適応した細菌グループが独占するようになり、細菌叢は平常とは異なるものとなる。しかし、ストレスの程度に依存するが、本試験で行ったレベルでは、元の通常範囲内の細菌叢へ戻ろうとする傾向が示され、結果的にマガキの健康を損なうまでには至らなかったと考えられる。
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