2016 Fiscal Year Research-status Report
黒色素胞刺激ホルモンの骨への新規作用:再生能力が高い硬組織(ウロコ)を用いた解析
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16K07871
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鈴木 信雄 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (60242476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 明義 北里大学, 海洋生命科学部, 教授 (10183849)
鈴木 徹 東北大学, 農学研究科, 教授 (70344330)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | MSH / ウロコ / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / カルシウム / ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度はキンギョを用いたin vivo及びin vitroの解析を行った。再生ウロコを用いたin vivoの骨形成システムにより、MSHの骨形成に対する影響を解析すると共に、ホルモンとのクロストークを解析した。 ①ウロコの再生モデル(in vivoの骨形成モデル)による解析 MSHを投与してウロコの骨形成に及ぼす影響を評価した。左側のウロコを取り、キンギョにMSH(Low dose: 0.1ug/g BW; High dose: 1 ug/g BW)を投与した。MSHの投与はウロコを抜いた直後、3日、5日、7日、9日後に投与した。投与後10日目に左側の再生ウロコと右側のウロコの骨芽・破骨細胞の活性を測定した。さらにウロコのCa含量と血液中のCa及びカルシトニン濃度を調べた。MSHをキンギョに投与した結果、再生ウロコの骨芽細胞及び破骨細胞が活性化した。また、残りのウロコ(右側のウロコ)においても、骨芽細胞及び破骨細胞が活性化することがわかった。さらにウロコのCa含量を測定すると、右側のウロコからCaを取り、再生ウロコの骨再生を促していることも判明した。この時に、血液中のCa及びカルシトニン濃度も上昇していたので、MSHはキンギョのCa代謝に影響を及ぼしており、再生ウロコの骨形成にも関与していることが示された。 ②再生ウロコのin vitroの培養実験 キンギョの再生ウロコを用いた培養系は、既に開発済である。この培養系を用いて、MSHの骨形成に対する作用を調べた。即ち、MSH(10-8, 10-7,10-6 M)を培地に添加して6時間後の骨芽細胞及び破骨細胞の活性を解析した。その結果、in vivoの結果がin vitroでも再現され、10-7及び10-6 MのMSHを添加することにより、再生ウロコの骨芽細胞及び破骨細胞のマーカー酵素活性が上昇することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、魚類における黒色素胞刺激ホルモン(MSH)の新規作用(骨代謝に対する作用)をウロコ(骨モデル)により解析することである。 平成28年度は、再生ウロコを用いたin vivoの骨形成システムにより、MSHの骨形成に対する影響を解析した結果、骨芽細胞及び破骨細胞の活性が上昇して、骨代謝を亢進するように作用していることが本研究により初めてわかった。さらに再生ウロコのCaの沈着も促進しており、骨形成を促していることが判明した。また、in vitroのシステムにおいてもin vivoの結果が再現され、再生ウロコの骨芽細胞及び破骨細胞のマーカー酵素活性(アルカリフォスファターゼ及び酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ)が上昇することが判明した。 以上のことから、キンギョの再生ウロコを用いたin vivo及びin vitroの実験により、MSHが魚類の骨代謝に関与していることを証明することができた。交付申請時の目的を達成しており、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、キンギョのウロコを用いたin vitroの解析システムを用いて、MSHの骨芽細胞及び破骨細胞に対する作用機序を明らかにするために、in vitroの培養系で骨芽細胞と破骨細胞の相互作用に関する遺伝子発現解析を行う予定である。 次に、ヒラメの円鱗から櫛鱗への変化について実験を行う。ヒラメの無眼側において、黒色素胞が蓄積した部分は、櫛鱗になる。その櫛鱗を抜き、再生させる。その再生過程を観察して、どのように櫛鱗になるのかを観察する。また無眼側の円鱗においても同様に再生過程を観察して比較する。さらに、ヒラメにおける時計遺伝子との関係を調べる基礎として、無眼側及び有眼側のウロコにおける時計遺伝子の発現パターンを調べる。特に、無眼側では、色素が沈着しやすい部位(尾びれの周辺)と色素が沈着しにくい部位(側線部分)とで時計遺伝子の発現が異なる可能性があり、部位による時計遺伝子の発現についても解析する。ウロコの隆起線には日周性があるので、櫛鱗形成にも時計遺伝子が何らかの影響を与えている可能性が高い。分担者の鈴木徹は、ヒラメのper遺伝子のクローニングを既に終了しており(Mogi et al., Dev. Growth Differ., 2015)、発現解析は可能である。
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[Journal Article] Seawater polluted with highly concentrated polycyclic aromatic hydrocarbons suppresses osteoblastic activity in the scales of goldfish, Carassius auratus.2016
Author(s)
Suzuki, N., Sato, M., Nassar, F. H., Abdel-gawad, F. Kh., Bassem, S.M., Yachiguchi, K., Tabuchi, Y., Endo, M., Sekiguchi, T., Urata, M., Hattori, A., Mishima, H., Shimasaki, Y., Oshima, Y., Hong, C.-S., Makino, F., Tang, N., Toriba, A. and Hayakawa, K.
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Journal Title
Zool. Sci.
Volume: 33
Pages: 407-413
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] odium fluoride induces hypercalcemia resulting from the upregulation of both osteoblastic and osteoclastic activities in goldfish, Carassius auratus.2016
Author(s)
Sato, M., Hanmoto, T., Yachiguchi, K., Tabuchi, Y., Kondo, T., Endo, M., Kitani, Y., Sekiguchi, T., Urata, M., Hai, T.N., Srivastav, A.K., Mishima, H., Hattori, A. and Suzuki, N.
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Journal Title
Comp. Biochem. Physiol. Part C.
Volume: 189
Pages: 54-66
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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