2019 Fiscal Year Annual Research Report
Antigen trapping in fish lymphoid organs
Project/Area Number |
16K07878
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
末武 弘章 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 教授 (00334326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮台 俊明 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 名誉教授 (20157663) [Withdrawn]
中村 修 北里大学, 海洋生命科学部, 准教授 (00306648)
筒井 繁行 北里大学, 海洋生命科学部, 准教授 (20406911)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 免疫 / 抗原 / 水産 / ワクチン / 魚病 |
Outline of Annual Research Achievements |
メラノマクロファージセンター(MMC)は魚類のリンパ組織において長期間抗原を保持しつづけるシステムであるが、その細胞、遺伝子レベルでの実体は十分にはわかっていない。メラノマクロファージは変温脊椎動物で広く見られる機構であることから、その応用範囲は広いことが期待できる。MMCを構成するMMは哺乳類のRPMと類似しており、弱った赤血球の貪食と鉄の再利用に関わる。溶血性貧血を人為的に引き起こすと、大量のMMが非常に短期間でリンパ組織内に現れることが明らかになり、血中にも存在することから、魚類ではMMが循環血由来である可能性が新たに示された。 一方、マダイ腎臓からのMMCの単離に成功したことから、これらの細胞を用いたトランスクリプトーム解析を行い、MMC画分に特徴的な遺伝子の検索を行った。MMC画分ではT細胞、B細胞、マクロファージの存在を示す遺伝子の発現が見られたが、非MMC画分と量的な差は見られなかった。MHC分子も両画分に差はなかった。しかし樹状細胞に特徴的な遺伝子の発現がMMC画分で高発現していた。さらに、抗原捕捉において重要な因子である補体因子と補体因子受容体のいくつかがMMC画分により強く発現していた。こうした結果はこれまで報告されておらず、本研究で想定していた補体による免疫複合体の捕捉機構がMMCに存在することを強く示唆するものである。さらに、多くのサイトカインやケモカインが発現しており、そのうちのいくつかはMMC画分で特徴的に発現していた。また、アポトーシスに関連する遺伝子のいくつかもMMCで強く発現していた。 このように、魚類のMMCが哺乳類で抗原を保持し、親和性成熟を担う胚中心に近い役割をもつことが示唆された。少なくともMMの一部は、血中由来である可能性が示され、魚類の抗原捕捉機構において中心的な役割を果たすMMCに関する新たな知見が得られた。
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