2017 Fiscal Year Research-status Report
日本の農産物・食品の海外新興市場開拓を実現するアグリビジネス教育プログラムの開発
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16K07889
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
齋藤 潔 宇都宮大学, 農学部, 教授 (80202076)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 農産物輸出 / アグリビジネス / 新興市場開拓 / 教育プログラムの開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本の農産物・食品の海外新興市場の開拓を研究上の実践目的と設定し、その接近方法として変貌著しいヨーロッパ諸国の市場特性を現地機関と協力しながら調査分析する。加えて日本国内の輸出農業者の経営事例を収集し、その経営分析を行う。それらの調査結果に基づいて海外新興市場を開拓するためのアグリビジネス教育プログラムおよび教材を開発する。開発した教育プログラム・教材の有効性を検証するため、輸出農業者を対象としたグローバルビジネス人材育成セミナーを開催し、教育プログラム、教材のブラッシュアップを図る。 本研究は、通常の採択時期より6ヶ月遅れて採択が決定したため、研究初年度は年度途中からの開始となった。このため初年度は研究計画を練り直し、とくに海外新興市場を開拓する理論研究に焦点を当てた。取り上げたのは世界のフードビジネス業界で新たな市場開拓理論を提示しているネスレ社のケーススタディである。ネスレモデルは発展途上国などの新興市場に品質の高い商品と普及価格商品を同時に投入することでフードマーケットの全価格帯をカバーするとともに、幅広い消費者の支持を獲得する戦略をとっている。 現状での日本の農産物輸出の取り組みでは高品質商品を新興市場に投入するという単純な戦略になっており、このような輸出スタイルではハイプロフィットマーケットへの敵対的侵入の形になってしまい、市場の信頼を損なう恐れもある。マーケティング開拓のスタイル点検を必要としている。 このような視点から研究2年目にはイギリスにおいて多国籍の研究者とのディスカッションを行った。その議論を通して着実な研究成果がもたらされた。研究最終年の平成30年度では、研究成果をとりまとめて再度イギリスにおいて共同研究ディスカッションを実施する。加えて、国内農業の輸出化事例の経営調査を継続して行い、海外調査の結果と対比させながら研究成果をまとめる計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の2年目である平成29年度は、研究初年度に行った新興市場開拓の理論研究をもとに構築した分析フレームワークをもとに進めた研究成果をとりまとめ、イギリスにおいて平成29年8月に共同研究会を開催し、十分なディスカッションを経て、研究実績は大きくブラッシュアップされた。このような研究プロセスを経て、研究成果は着実に蓄積された。このような研究の進展により、本研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年となる平成30年度は研究の最終とりまとめを意識して研究計画を進める。1年目で開発したプロトタイプのアグリビジネスのマーケティングセオリーに基づいて、平成29年度ではイギリスにおいて共同研究会を実施し、研究フレームワークの練り上げを実現できた。平成30年度は研究2年目で達成した研究成果を拡充し、ブラッシュアップすることに主眼を置く。5月に再度イギリスでの共同研究会を開催し、9月には共同研究とりまとめの共同研究会を予定している。 加えて、国内農業者の輸出振興策を点検し、海外事例との比較分析を行い、研究成果に結びつける。
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Causes of Carryover |
本研究は通常時期より6ヶ月遅れて平成28年10月に採択が決定した。このため研究初年度に予定していた海外調査を行うことができず、初年度は理論フレームワークの設定に焦点を当てて研究を進めた。このため研究初年度には若干の繰越金が発生し、それを研究2年目に使用した。研究2年目は順調に研究を進めたが、研究初年度分の繰越金が発生した。平成30年度は研究最終年であり、この繰越金を想定して研究計画を立案している。すでに研究とりまとめのため5月にイギリスで共同研究会を開催することが決定しており、9月には共同研究とりまとめのミーティングを予定している。繰越金は平成30年度に全額を使用する計画で研究を進めていく。
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