2016 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ・マーケティングによる食料・農産物需要の計量経済学的研究
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16K07897
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
松田 敏信 鳥取大学, 農学部, 教授 (40301288)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マイクロマーケティング / POSデータ / 農産物直売所 / 階層ベイズモデル / マルコフ連鎖モンテカルロ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
鳥取市の農産物直売所に関するPOSのレシートデータより分析用のデータセットを作成するとともに,並行して階層ベイズモデルの設計を行った. 対象とする農産物直売所には,市内や県内はもとより日本全国,さらには海外からも来店客がある.農産物直売所のPOSデータにおいて,消費者やその居住地域は(全消費者,全居住地域という)母集団からランダムに抽出されたものであると考えられるので,消費者の異質性と居住地域の異質性はいずれもランダム効果として捉えるのが自然である.しかし,これまでの食料・農産物需要分析で主に用いられてきた最尤法や最小二乗法では,2つ以上のランダム効果を含むモデルを推定することは困難である.また,既存研究で用いられた固定効果モデルや潜在クラスモデルでは,一人ひとりの消費者の異質性や一つひとつの居住地域の異質性を把握することができない. 階層ベイズモデルでは,横断面データを用いる場合でも消費者別にパラメータを推定できるので,個々の消費者間に存在する原因不明の異質性を考慮したモデリングが可能となる.潜在クラスモデルでは,同一セグメントの全消費者に対して同一のパラメータが推定されるのに対して,階層ベイズモデルでは,消費者一人ひとりに対して異なるパラメータを推定することができる.また階層ベイズモデルでは,2つ以上のランダム効果を含む場合でも安定した推定を行うことができる.個々の消費者に関するデータがどんなに少なくても消費者別にパラメータを推定でき,データの少なさは単に事後分布の分散が大きいという不確実性として反映される. 本研究の独創性は,POSデータによる食料・農産物需要分析において,階層ベイズモデルにより個々の消費者の異質性と個々の居住地域の異質性をリアルなランダム効果として捉えている点にある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に必要なPOSデータを入手し,分析モデルの設計に一定の目処が付いたので.特に,今年度入手した農産物直売所のデータは,消費者の個人差,居住地域差等を複数のランダム効果として分析する本研究の課題に好適である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,分析に用いるデータを拡充しつつ,モデル分析を進める.
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Research Products
(3 results)