2016 Fiscal Year Research-status Report
放置された財の解消にむけて―山林、農地、家屋を対象とした包括的アプローチ―
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16K07898
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
片野 洋平 鳥取大学, 農学部, 准教授 (00407347)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 環境政策 / 自治体政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本各地で、放置される家屋、農地、山林に起因する問題が発生している。その問題領域は放置された財を利用しないまま所有することの是非をめぐる所有権のあり方についての理論的課題から、放置された財が生活者に与える影響を排除することを目的とする実践的課題まで多岐にわたる。本研究では、そうした放置財をめぐる混乱する状況について、特に国内外の地域社会における成功事例から学び、理論と実践のベストミックスを探ることを目的とした。 H28年度は、以下の問いを明らかにする試みを行った。すなわち、所有と利用を支える現代的な制度はどのような社会的基盤から成立していたのか?また、社会変化が起こったとき所有と利用の制度はどのように変化したのか? である。 先行研究から所有と利用に関する思想と制度をたどり理論的な整理を行った。具体的には、人類学的な視点をも取り入れつつ、所有と利用について思想が生まれた期限に立ち返って、現代における所有と利用の制度が、社会的な変化(たとえば、土地の値段の高騰、戦争や疫病による人口減少など)により、変更した場合、制度変更が行われる際の理論構築のあり方を考察した。これまでの分析結果はH28年度中に論文として出版された。また、28年度は、諸外国でもまれである、我が国の人工林に着目して分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度のの取り組みはやや遅れた。それは、申請者の家庭環境が大きく変わった、-具体的には妻の出産-ことに起因する。妻もフルタイムで働いているため、育児による負担が想像以上に重く、研究が進まない傾向にあった。この傾向については、大学による育児支援制度を活用させていただくことなどにより徐々に改善されている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き家庭環境による変化の影響を受けつつも、研究を進めていきたいと考えている。 H29年度の大きな目標は、なぜ、地域社会において、土地の利用をしないにもかかわらず所有する者が容易に土地を手放さないのか?というクエスチョンを明らかにすることにある。この点を、地域社会の現状の観察および社会調査などから明らかにしたいと考えている。 予算の減額などから、社会調査を実施できるかは、もう少し考慮しなくてはならないと思っているが、少なくとも、多くの地域社会の住民に調査を行うという視点を大切にしていきたい。
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Causes of Carryover |
家庭環境の変化(育児)により、思うように仕事ができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
大学からの育児支援制度も得ているので、H29年度は確実自予算を消化していくよう努力する。
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Research Products
(3 results)