2016 Fiscal Year Research-status Report
リスク・情報・人材マネジメントに着目した農業法人経営発展の実態解明と理論構築
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16K07901
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
南石 晃明 九州大学, 農学研究院, 教授 (40355467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長命 洋佑 九州大学, 農学研究院, 助教 (10635965)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 農林水産業経営 / ICT / 人材育成 / 事業多角化 / 経営革新 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は、農業法人経営の発展理論の構築を行い、次世代農業経営の確立に貢献することである。具体的には、独自の全国アンケート調査による農業法人経営のマネジメント(特にリスク、情報、人材に着目)と事業展開の関連性の実態解明を行い、リスク・情報・人材マネジメントに着目した農業法人経営発展実態に関するエビデンスと基礎的知見を得て、理論構築を行うことを目的としている。 平成28年度は、全国の2,468社の農業法人を対象とする大規模アンケート調査を設計・実施し、以下の幅広い項目についてデータ収集・整理および基本的な分析を行た。第1に、①法人の基本的な事業内容や方針,②人材育成やICT活用、③事業内容や経営戦略、④TPPに対する法人の考え、⑤法人代表者の方針、⑥アンケート各問の集計結果に対する関心など幅広い貴重なデータを収集・整理した。アンケート調査票は2016年8月に郵便で送付し 同年10月までに558通の返信があった(回収率22.6%)。第2に、水稲(複合経営含む)に着目し以下の傾向を明らかにした。①市場出荷に加えて、農作業受託、直接販売,契約生産といった事業・販路多角化を約5割以上の経営が実施しており、事業・市場革新が進行している。②経営管理や生産管理におけるICT活用では、「費用以上の効果」があったとする経営が約6割以上に達しており、経営管理革新および技術(生産管理)革新が進んでいる。③人材育成における経営革新については農業分野の研修会・見学会や資格取得支援、能力修得状況把握、OJTが約6割以上の経営で取り組まれている。④経営規模(売上)が拡大するに従い、これらの経営革新が進む傾向がみられる。第3に、農業法人経営の経営管理委意識や収益性に関する特徴を試論的に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大規模全国アンケート調査を計画通り実施し、日本農業経済学会(2017年3月)において大会シンポジウム報告1件および個別報告2件の学会成果発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、以下の研究を推進する。 1)独自の全国農業法人アンケート調査の分析:前年度実施の全国アンケート調査の多変量解析を行い、農業法人経営の形態・規模・収益性・経営方針・リスク選好、人材育成や情報マネジメントへの取組み、情報通信技術ICTの活用や費用対効果、部門別事業内容・経営の強み・課題・経営戦略等の各項目間の統計的関係を解明する。 2)「経済センサス:活動調査」および「TKC経営指標」の分析:「平成24年経済センサス:活動調査」の解析を継続すると共に、「TKC経営指標」の分析結果とも総合して、農業法人経営の財務的特徴を明らかにする。 3)欧州主要国の農業経営発展の動向調査:園芸・畜産両分野でのICT活用が進んでおり、企業経営も発展しているオランダの農業経営の現地調査を実施し、園芸経営および畜産経営における経営管理・マネジメントとICT活用の実態解明を行う。また、統計調査としては、「Eurostat」統計データを用いたEU主要国(オランダ、スペイン、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、スイス、デンマーク等)の総合的な統計分析を行う。
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Causes of Carryover |
アンケート調査データ集計・解析作業補助の賃金が予定額を下回ったため、わずかに次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、アンケート調査データ集計・解析作業補助の賃金に充当する。この他、研究費は、現地調査および学会での成果発表のための旅費、研究成果の論文作成に関わる英文校閲・投稿料等に使用する。
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Research Products
(3 results)