2017 Fiscal Year Research-status Report
リスク・情報・人材マネジメントに着目した農業法人経営発展の実態解明と理論構築
Project/Area Number |
16K07901
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
南石 晃明 九州大学, 農学研究院, 教授 (40355467)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長命 洋佑 九州大学, 農学研究院, 助教 (10635965)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 農業法人経営 / 経営革新 / イノベーション / 情報通信技術ICT |
Outline of Annual Research Achievements |
第1に、農業経営革新の現状と次世代農業の展望について、稲作経営の経営革新の現状を明らかにするとともに次世代展望を試みた。事例分析では、技術革新.事業・市場革新が進行しており、組織革新も一部で見られることを確認した。全国アンケート調査分析では、経営規模拡大(売上高、従事者数)により、事業・市場革新、技術革新.経営管理革新の何れも進行する傾向がみられることを確認した。今後の展望では、将来の各経営・類型の優位性は、今後の政策、市場変動、気候変動、技術革新等の経営環境変化をビジネスチャンスに変える経営革新力によって決まると考えられることを述べた。本論文で対象としたような、経営革新を持続的に実現できる稲作経営が、次世代の農業経営の将来像の一ついえることを明らかにした。 第2に、上記全国アンケート調査を用いた農業法人経営における情報通信技術ICT費用対効果の評価に関する因子分析を行い、「生産の見える化」、「経営の見える化」、「利益確保」と解釈できる3つの潜在因子を抽出した。人材育成へのICT活用は、「生産の見える化」および「経営の見える化」という2つの潜在因子(観点)から評価されていることが示唆された。 第4に、全国アンケート調査分析の一環として、農業法人経営の経営規模と収益性、農業法人経営におけるICT 活用と収益性との関係、農業法人の輸出取組と経営規模・収益性、稲作法人経営における多角化戦略と経営革新について解明した。 第5に、上記1~4に関する論文公表および学会発表に加えて、日本農業経営学会研究大会第1分科会「次世代農業経営のビジョンと事業展開―経営の発展段階とリスク・情報・人材のマネジメントに焦点をあてて―」および同学会地域シンポジウム「都市近郊農業における多様な事業展開と新たな挑戦―糸島の「食」と「農」の連携と将来展望―」を開催し、研究成果の社会還元を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンケート調査分析および現地調査が研究計画に基づいて進捗しており、論文や学会発表等の成果公表も順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画に基づいて、アンケート調査分析および現地調査を実施し、論文や学会発表等の成果公表を予定通り行う。さらに、研究期間全体の研究成果を取りまとめ、リスク・情報・人材マネジメントに着目した農業法人経営発展の実態解明と理論構築を行い、研究協力者および協力農場の農業経営者との意見交換・議論を行う。これらの成果を社会還元するため、農業関係者および一般市民を対象としたシンポジウムを開催すると共に、研究成果広報用パンフレット・報告書(書籍)を刊行する等のアウトリーチ活動を積極的に行う。
|
Causes of Carryover |
海外旅費が予定額を下回り次年度使用額が生じた。次年度計画の海外調査を充実しその旅費に充当する。
|
Research Products
(11 results)