2020 Fiscal Year Research-status Report
動学的応用一般均衡モデルを用いた高温耐性品種米普及による地域経済への評価分析
Project/Area Number |
16K07907
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
阿久根 優子 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (90363952)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 気候変動 / 高温耐性品種米 / 地域経済 / 応用一般均衡分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、気候変動適応策としての高温耐性品種米による地域経済への影響を動学的応用一般均衡モデルを用いて評価することである。 令和2年度は、前年度に行った『農業経営統計調査』の個票データを用いた日本農業の生産性分布とバラエティ間の代替の弾力性に関する分析結果を精査し、2本の論文を英文誌に投稿した。このうち1本は掲載済みで、もう1本は審査中である。 また、前年度に引き続き、国内の9地域の稲作の生産性分布の形状パラメータとバラエティ間の代替の弾力性の計測結果を地域間応用一般均衡モデルに導入して分析を行った。そのなかで、各地域における異常気象による農業被害の確率とその程度に関して、モンテカルロ法を用いたシミュレーションを再検討した。それらの中で得た異常気象による稲作を中心とした地域間のフードシステムの脆弱性の結果について、これまでの結果と比較検討した。そのうえで、高温耐性品種米の普及状況を踏まえたシミュレーションを行い、気候変動適応策としての高温耐性品種の影響について定量化を試みた。おおよそ妥当な結果を得られたので、これらの結果を国際学会で報告しディスカッションから得たコメントを参考に研究をブラッシュアップする予定であった。しかしながら、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックのため実施できなかった。このため計画を変更して、追加分析によって更なる精査を行ったうえで、別の形での公表の準備を進める必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた国際学会での発表が新型コロナウイルス感染症によるパンデミックのため実施できなかった。このため計画を変更して、結果を精査したうえで、別の形での公表の準備を進める。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題で残された分析トピックは、国内の9地域の稲作の生産性分布の形状パラメータとバラエティ間の代替の弾力性の計測と、それらのパラメータを地域間応用一般均衡モデルに導入し気候変動による高温耐性米の効果に関するシミュレーション分析である。再延長が認められたため、『農業経営統計調査』の個票データの使用を再度申請して再分析を行う。あわせて、異常気象による農業被害の確率とその程度に関する追加分析により結果を精査する。
|
Causes of Carryover |
<理由>次年度使用額が生じた理由は、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックのため、予定していた国際学会での発表ができなかったためである。 <計画>結果の精査に必要なデータやソフトウェアの購入や国内の学会報告や学会誌投稿などで研究成果を発表するために使用する予定である。
|