2017 Fiscal Year Research-status Report
集落営農法人の雇用における心理的契約に関する経営管理論的研究
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16K07915
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
高橋 明広 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター, 主席研究員 (20355465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 珠里 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (30355466)
伊庭 治彦 京都大学, 農学研究科, 准教授 (70303873)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 集落営農 / 心理的契約 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、集落営農法人について、ぐるみ参加型(1組織)と専従者(会社)型(2組織)の二つの類型について、心理的契約(PC)不履行の実態をアンケート調査により実施した。 専従者型に関して、就職後1~5年以内の従業員では、次の特徴が確認できた。1)「賃金が他の勤務先と比べて公平である」等、賃金水準や昇給等について従業員は採用時点では、あまり「期待しない」と考えていたが、現時点では比較的高い評価に転じており、賃金について組織は従業員の予想以上に対応できている。2)「年間を通じた仕事を提供し雇用の安定を確保する」については、採用時に強く期待しており、現時点でも高い評価を示し、PC不履行は生じていない。これらは、耕種作の大規模化に加えて野菜作、農産加工等に取り組んで収益向上に努めていることが関与していると推察できる。一方、3)これまでの「経験を活かせる仕事役割の提供」、「組織の将来方向の明確化」については、当初の期待を下回り、PC不履行が生じている。4)特に、採用後10年程度を経過し中間管理職的立場にある従業員では、賃金についてのPC不履行は示されていないが、「役割に応じた適切な配置」、「資格取得等のOff-JT」、「圃場での実習等のOJT」については、PC不履行の状態にある。中間管理層におけるこれらPC不履行の解消が重要な課題である。 ぐるみ型に関しては、1組織のみの分析であるが、賃金(水準、昇給等)、育成方針の明確化、作業の配置や役割分担の明確化、作業のOJTの実施、適切な評価とそのフィードバック等において、PC不履行の状況にある。前者の専従者型と異なり、ぐるみ参加型では、従業員は集落内の組織構成員の子弟で占められていること、ぐるみ参加型の役員は従業員の育成・支援等への意識が弱いことが影響したためと推察される。今後、事例を追加し、これらタイプ別の特徴をより鮮明にする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に進展しているが、本年度は、研究代表者が体調を崩したため、予定していた集落営農法人の調査事例数を増やすことができなかった。このため、研究期間の延長も含めた対応を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
専従者型、ぐるみ型の集落営農法人についてのPC調査を追加で実施し、集落営農法人におけるPCの内容、特徴等を整理する。
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Causes of Carryover |
研究代表者が体調を崩し長期離脱を余儀なくされたため。 次年度使用額は、集落営農法人の調査数を追加し、類型毎の事例分析を進めるために使用する。
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