2018 Fiscal Year Research-status Report
地域資源管理における経験価値マーケティングの戦略展開に関する定量分析
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16K07926
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
赤沢 克洋 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 准教授 (70304037)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地域マーケティング / 旅行の発動要因 / 旅行経験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は,地域マーケティングにおける心理的・感覚的戦略要素に着目し,その活用による地域マーケティングの新たな戦略方途を提示することである.このために当該年度に行った取り組みは以下である. 発動要因の充足に対する島嶼旅行者の期待と満足を定量的に把握することを目的とした.このために,隠岐旅行者を回答主体としたアンケート調査を実施し,そのデータに基づいて3つの分析課題に取り組み,以下の知見を得た.第1に,発動要因への期待を分割指標とした潜在クラス分析の結果から,①隠岐旅行者が5つの旅行者層に分割されること,②発動要因の充足への期待の構成において脱日常性と関係強化が共通のベースとなること,③新奇性への期待の違いが人的成長,緊張解消,娯楽追求の充足への期待の違いを生みだすことがわかった.第2に,順序ロジットモデルの結果から,発動要因の充足への期待に対して,旅行者属性(性別,年齢層,同行形態,訪問経験)ならびに好意的・肯定的な旅行者選好が選択的に規定要因となることがわかった.第3に,隠岐の観光資源への満足を条件部とし,発動要因の充足への満足を結論部としたアソシエーション分析の結果から,①島情緒,歴史文化およびジオ資源の満足が娯楽追求,新奇性および人的成長の充足への満足をもたらす顕著な効果があること,②活動と食・宿の満足がいくつかの発動要因の充足への満足をもたらす効果があること,③脱日常性,緊張解消,関係強化を結論部とした相関ルールの頻度が高く,その中では景色自然を条件部としたものにおいて顕著に高い頻度をとることがわかった. また,石見銀山,玉造温泉,青山剛昌記念館において,旅行者と利用者の経験の相対的重要度に関するアンケート調査データを収集し,分析中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サービス財を対象とした心理的・感覚的戦略要素の経験価値としての体系化に向けて,その試行を行い,また様々な評価対象におけるデータを得ることができた.ただし,当初予定していた経験価値プロバイダーの抽出は,関連データを獲得するに留まっており,やや遅れている.これらのことから,やや遅れていると達成度を評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
石見銀山,玉造温泉,青山剛昌記念館における経験価値の相対的重要度に関するアンケート調査データの分析を早急に終え,さらに,それらの価値を生み出す経験価値プロバイダーを抽出していく.
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Causes of Carryover |
当初予定していた人件費・謝金への支出を学内の研究費助成によりまかなうことができたため,余剰が生じた. 翌年度は,研究成果の公表に積極的に支出する予定である.
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Research Products
(2 results)